第15話 愛のカタチ

研修も兼ねて

中途入社の本田さんが店舗に配属された。


本田さんは長身の塩顔イケメンと言った

感じでパートの奥様方は

すごく喜んでいる様子だった。


本田さんの指導や

閉店後の打ち込み作業などを教える為に

大滝さんと過ごす夜の時間は

減ってしまい

私は少し、寂しく感じていた。


それでも1ヶ月経つ頃には

本田さんも仕事を一通り覚えて

「大滝さん!後は俺やっておくので

先に上がって下さい!!」

とまた時間が取れる様になった。


本田さんが来てすぐくらいに

連絡とれないの不便だねと

大滝さんが切り出してくれたので

LINEは交換していた。


バイト終わり私服に着替えて

スマホを見ると

〝外でまってる〟と大滝さんから。


今日は久しぶりに

2人で時間が取れるので

気持ちが高鳴っていた。


急いで向かおうとすると


「大津さん、お腹空いてない?

よかったらご飯いきません?

まだ店の分からない事も多くて

色々聞きたいなと思って」


と本田さんに呼び止められた。


実際本田さんはすごく親しみやすくて

仕事の合間に談笑を挟んだりと

仲良くなっていた。


バイトの夜番の中では

1番古株で

相変わらず週5日くらい

シフトに入っていたので

店長も分からないことは大津さんに聞いて〜

と投げてくる事も多かった。


年下の大学生ということで

聞きやすいというのも大きいかもしれない。


けれど、

久しぶりの大滝さんとの約束


「すみません、明日テストがあって

今度ぜひ行きましょう!」

と言って断って店をでた。


それから大滝さんと合流した。


「遅かったね」


「あ、はい。

本田さんがご飯行きませんか?って

でも明日テストなんで

って嘘ついて

断っちゃいました(笑)」


「本田さん

大津さん狙ってるんじゃ無い?」


「いやいや、それはないですよ!」


そんな事はあるはずも無いので

私は笑って否定をしたが

ふぅーんと言った様な大滝さんが

思わず可愛くて心がギュっとした。


車の中で大滝さんの頬に思わずキスをする。

こんなに積極的になれるほど

私と大滝さんの距離は近づいてた。


「俺、明日休みなんだけど…

大津さん空いてる?」


えっ…


人目もあるので

休みの日に出かけるのは

行けないものだと思っていたので

誘いに驚いてしまった。


「午前中で授業終わるので

1時くらいからなら空いてます」


「じゃあ、映画でも見に行く?

見たいって言ってたの

今公開してるよ」


「はい!!!」


初めてのデート。

嬉しさが込み上げた。


夜大滝さんと過ごす事で

大学の授業を何回か寝坊していた私は

今日は寝ときなと説得され

その日は車で少し話すだけして帰った。


けれど

明日の事を考えるとすぐ寝れる訳もなく…

次の日は寝不足のまま

なんとか授業に参加した。


急いで帰って準備をしなくてはと

頭はそれでいっぱいだった。


最後の授業が終わって

スマホを見ると

大滝さんからLINEがきていた。


〝ごめん

今日行けなくなった〟


返事を返したけれど

次の日も既読にはならなかった。


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