第11話 彼女

バイト終わり、明かりの消えた

たなか電気の前で大滝さんを待っていた。


落ち着かない…


たなか電気は

バイト先のラーメン店の

近くにある大型家電店だ。

深夜の23時を過ぎている

広い来客用駐車場には

車がぽつぽつんとだけとまっていた。


駐車場の入り口の方向を見ながら

待っていると

何度か車のライトがこっちに向かって

光って見えたが

通り過ぎて行ってしまった。


外の暗闇が

今の複雑な気持ちに煽りをかける。


大滝さんの黒のワゴンカーが

見えたのはそれから10分後くらいだった。


「ごめんごめん!

時間かかっちゃった。」


連絡先も知らなくて

ずっと一人で外で待って…

でもでも……

顔を見たら

〝うれしい〟が勝ってしまう。


それから、大滝さんの車に乗って

広い駐車場の隅で車がとまった。


周りには車も人もない。


遠くにある電灯の光が

微かに車内を照らす。


「少し話をしていい?」


私は大滝さんに頷いた。


「この前は、ごめんね。

びっくりしたよね…」


私は横に首を振って大滝さんに

視線を上げる。


「…」


少し間があく。


「あ、あの…!!」


私は意を決して口に出した。


「わたし、大滝さんの事が好きです。」


大滝さんと目が合う










「俺、彼女がいるんだ」















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