第10話 気づいているの…
土日は慌ただしく過ぎていく。
大滝さんと私は
フルでシフトに入っていたが
みんなの輪に入る程度しか話さなかった。
明るく笑って
仕事に打ち込むいつもの大滝さん…
あの日の事が無かったかのようで
少し胸が痛かった。
日曜日のピークも終わり
夜番以外のメンバーが帰っていく。
あんなに忙しかったのに
22時過ぎには
奥のボックス席に1組だけ。
店内のBGMが脳内に響く。
この緩やかな時間が
心の奥で硬く留めていたものまで
緩く緩く…
あっ…
気づくと涙が溢れていた。
みんなといた時は平気だったのに…
平気のはずだったのに…
「大津さん?」
慌てて振り返ると後ろには
大滝さんがいた。
急いで、涙を拭い払った。
「…今日帰り送るよ
終わったらたなか電気の前で
ちょっと待ってて。」
それだけ言って大滝さんは厨房へ戻った。
大滝さんとの時間
嬉しいのに苦しい。
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