第3話 転機
「えっ、店長移動するんですか?」
「そうそう来週木曜日からだって、
次は誰が来るのかしら、ふふふ」
土曜日、パートの主婦大川さんから
突然舞い込むニュース
私のバイト先のラーメン屋は
県内チェーン店で
社員の移動は意外に頻繁にあるらしく
むしろ今の店長が3年弱いたのは
珍しいことだったらしい。
あっ、次私入るの金曜日の夜だ。
ちょうど、テスト期間で平日は
休みをもらっていた。
相変わらず、店長の機嫌の悪い日は
怒られたりはあったけれど
土日はパートの奥さまがいて
世間話を隙を見てするのが楽しかったり
平日の夜は
さほど交流はないけど
できる先輩達が多くて最初よりは
バイトへの苦痛は減っていた。
けどいざ、今日バイトってなると
イヤイヤって気分になるんだよね。
行くは行くけど…
だから
テスト期間を口実にした
この休みはすごく開放感
「はぁ〜
物理おわったー」
「どっちの意味で?笑」
「どっちも笑」
「だよねー笑」
大学生活の方はと言うと意外と楽しい
理系大学だけど
女子はまぁまぁいて、
共通教科で
なんとなく近くに座ってた5人で
ふらっとこうやって集まってる。
女子女子してないというか、
居心地はすごくいい。
「唯、今日もバイト休み?」
「ううん、18時からシフト
入ってるんだよね」
「あれ、でも今日うなされてないじゃん笑」
「あっ、そうだ
うち店長変わるらしくてさ」
「え、あのスパルタの?!」
「そうそう、店長いる時の
ピリッてしてるあの空気?
想像するとううってするというか
だから今日はなんか不思議な感覚
…まぁでも行きたくないけど笑」
「ははは、がんばれーバイトマン笑」
テスト後、時間までたわいもなく
みんなと喋って
その時間を惜しみながらも
大学を出てバイトへ向かった。
「おはようございます」
店の厨房に入ると、そこには
若い男の人がいた。
少し照れながら、優しく返す挨拶に
私の心がかすかに跳ねるのが分かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます