story.08 拒絶

九尾の狐

「ん?そうゆうことなら…ここやない場所に零蘭れいらを連れて行って痕跡こんせき変えればええんちゃう?」

僧正坊そうじょうぼう

「それは、名案だ。頼む。寝ている間は霊力が漏れやすいからな。このまま連れていくといい。」

九尾の狐

「あぁ、行ってくるわ。」


零蘭を抱き上げ、消えた。


九尾の狐

「ここでええやろ。」

【北海道まで来れば大丈夫やろ。】

「うん、ええやろ。」


一瞬で鞍馬山くらまやまの千年桜の前に戻ってきた。


九尾の狐

「行ってきよった。これで、大丈夫やろ。さっさと、屋敷に戻ろ。」

僧正坊そうじょうぼう

「早いな。あぁ、戻ろう。息子も呼ぼう。仲がいいだろ。」

九尾の狐

「あぁ、せやな。年も近いし。」


一方、深雪みゆきたちは…

岐阜ぎふあたりまできていた


あおい

貴人きじん!ゼロの霊力を感知した!」

深雪みゆき

「どこだ?」

あおい

「北海道じゃ。移動距離がすごいの。」

深雪みゆき

「これは…東京に戻る。これは、探すことは難しいだろう。」

輝夜かぐや

「あぁ、それが賢明けんめいな判断だ。これは、裏がありそうだ。御神にも話したほうがいい。」

すばる

異議いぎはない。」

自由みゆ

「そうですねぇ。早く戻ったほうが良さそうです〜。」


それから数時間がたち真夜中となっていた。

零蘭たちは…


零蘭れいら

【ここ、どこの部屋?…桜の木下で寝てたのに…】

小天狗1

「起きました?僧正坊そうじょうぼう様がお呼びです。」

零蘭れいら

「はい?」


僧正坊の部屋に来ていた。


僧正坊そうじょうぼう

「起きたか。」

零蘭れいら

「おはよう。」(すごく眠たそうにしていた。)

大天狗1

「眠そうだな。」

零蘭れいら

「うるさいなぁ…眠い。」(すごく態度が悪い)

九尾の狐

「あぁ、寝起きが悪いんやね。」

僧正坊そうじょうぼう

「そのようだ。零蘭、なぜあそこで寝ていた?」

零蘭れいら

「う〜ん、なんでだろう。あれ見てると、お母さんみたいだなぁって思ったから。」


零蘭の発言でその場にいたものが固まった。


僧正坊そうじょうぼう

「そうか…美奈もあの桜が好きだった。気づけばあそこにいた…なつかしいな。」

零蘭れいら

「お母さんが?」

僧正坊そうじょうぼう

「零蘭、人間の世に帰りたいか?それとも、こちらにまだ残るか?」

零蘭れいら

「向こう帰る。」

九尾の狐

「なんでや?」

零蘭れいら

「たまにこっちきたい。その時、お母さんの話いっぱい教えて。もう、帰らないと…多分、すごい怒られる。」

九尾の狐

「さよか。じゃぁ、向こうに送るわ。」

僧正坊そうじょうぼう

縢匁かなめにはわれから連絡しておこう。」

零蘭れいら

「かなめ?誰?」

僧正坊そうじょうぼう

六道りくどう縢匁…陰陽局長のことだ。」


これから、陰陽局長のことは六道縢匁として表記します。


零蘭れいら

「そんな名前なんだ。仲良いの?」

僧正坊そうじょうぼう

「まぁ、美奈のことでもいろいろな。」

零蘭れいら

「?そうなんだ???」(わかっているようには見えなかった。)

僧正坊そうじょうぼう

「今、ふみを書く。少し待て。」


十数分後…


僧正坊そうじょうぼう

「これでいいだろう。九尾、頼むぞ。」

九尾の狐

「あぁ、わかっとります。」

零蘭れいら

「あ、陰陽局では、本名ダメだから。ゼロって呼んで。」

九尾の狐

「わかったよ。」


九尾が人型となり零蘭のことを抱き上げた次の瞬間、陰陽局の目の前だった。


九尾の狐

「着いたで。」

零蘭れいら

「この移動、どうやってるの?」

九尾の狐

「それは、秘密や。」(ニッコリ笑った)


すばる

「誰だ。」(九尾をにらんだ)

九尾の狐

「娘はんを届けに来たんや。陰陽局長に、僧正坊の使いって伝えてくれへん?」

縢匁かなめ

「その必要はいらん。九尾よ、ひさしいな。」

九尾の狐

「あぁ、久しぶり。ゆっくり話さへんか?この娘はんのこと。」

縢匁かなめ

「あぁ、いいじゃろう。」


陰陽局長の執務室に来ていた。


縢匁かなめ

「いなくなったと報告を受けておった。どこにおったのじゃ?」

九尾の狐

「あぁ、僧正坊はんのとこにな。あぁ、これ、僧正坊はんからの文や。」


縢匁が手紙を読んだ。


縢匁かなめ

「そうか…大体わかった。ゼロ、これを渡そう。」


縢匁が小さめな6センチほどの羽を零蘭に渡した。


零蘭れいら

「何、これ」

九尾の狐

「ふふふ、ゼロはんは縢匁はんにも敬語使わへんのやね。」

零蘭れいら

「敬語苦手。」

九尾の狐

「あははは。ゼロはんらしいわ。」

縢匁かなめ

「そうじゃな。その羽は僧正坊殿に繋がっている。それを、握りしめ思いを込めれば向こうから迎えがくる仕組みとなっているそうじゃ。」

零蘭れいら

「すご。」

九尾の狐

「そうやね。まぁ、そうゆうことやからうちは帰るわ。」

零蘭れいら

「うん、またね。」(本心からの笑顔を九尾に向けた。)

九尾の狐

「あぁ、またな。」


九尾の狐が消えた。

九尾がいなくなった途端とたん、零蘭は冷たい目をするようになった。


縢匁かなめ

「これが、ひもじゃ。これで、首につけておくことが出るであろう。」


縢匁が零蘭に首に羽をつけたネックレスをつけてあげた。


零蘭れいら

「ありがとうございます。」

縢匁かなめ

「もう少しで、くるかの。」

自由みゆ

「御神、来ましたぁ。ゼロちゃん、行きましょうね。」

零蘭れいら

「うん。」


森羅自由しんらみゆ六合りくごうの屋敷に戻ってきた。


あおい

「ゼロ…お主」

零蘭れいら

「ごめんなさい。もう、寝る。」

自由みゆ

「ゼロちゃんの部屋は、2階の右側の1番奥の部屋ですぅ。」


零蘭がいなくなった。


あおい

「心を閉ざしおった。」

自由みゆ

「そうですねぇ。信用が全くありませんねぇ。ゼロちゃんの目は冷え切っていましたねぇ。」

あおい

「そうゆうことだ。いろいろあったからな。しばらく、1人の時間が必要だろう。」


数日後…

零蘭の部屋の前で


あおい扉越とびらごしに)

「ゼロ、そろそろ出てきたらどうじゃ。」

室内

「…」


零蘭から返答はなかった。

なぜなら、零蘭は…


僧正坊そうじょうぼう

「そろそろ、帰らなくて良いのか?」

零蘭れいら

「まだ、大丈夫。」


そう、零蘭は鞍馬山に入りびたっていた。

部屋にいないのである。そんなことを知らない十二天将たちは…


あおい

「やはり、何も帰ってこんな。」

深雪みゆき

「そうか…」

自由みゆ

「ゼロちゃん、もしかしたら、ここにいないのかもしれませんよねぇ。物音もしませんしぃ。」

そこにいたもの

「!?」

あおい

盲点もうてんじゃった…。すぐに、部屋の確認を!」

美徳みのり

「いないようだな。」

深雪みゆき

「鞍馬山だ。」

あおい

「だろうな。ゼロが帰ってきたらすぐに調べるとしよう。」

深雪みゆき

「それが、最善策だ。ゼロの部屋に必ず誰かがいるようにする。以上だ。」


その日の夜遅く、零蘭帰って来た。


零蘭れいら

「…えっと、貴人きじんの人。」

深雪みゆき

「早乙女深雪だ。すぐに、調べる。もう、逃しはしない。」

零蘭れいら

「ばれたんだ。」(とても、冷め切った無表情であった。)

深雪みゆき

「そうだ。すぐに、調べる。」


それから2時間ほどで零蘭の詳細な調査が行われた。

調査が終わり、零蘭は寝ていた。

その間に、会議は行われていた…


深雪みゆき

「まずは、各々報告を頼む。」

自由みゆ

「はぁい。では、私からは霊力値についてお知らせしますね。規格外ですねぇ。661万2349ですねぇ。」

あおい

「やはり、規格外の結果になったか。御神、ゼロ…ゼロの母親の美奈について十二天将は知っていた方がいいと思うのじゃがどうであろうか。」

縢匁かなめ

「そうじゃな。共有した方がいいじゃろう。これについては、太陰に一任する。太陰…頼む。」

あおい

「わかった。では…」



登場人物紹介!

陰陽局長について

今まで、名前が明かされていなかった陰陽局長ですがついに僧正坊によって明かされましたね。

名前は、六道りくどう縢匁かなめです。

名前が明かされたところで、詳しく説明していこうと思います。

六道りくどう 縢匁かなめ

72歳・男性。陰陽局長である。

美奈のことを全て把握はあくしている。

陰陽局長という役職から、全ての陰陽師の詳細を見る権限がある。

腹の底が見えない…。


story.09に続く

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