story.07 里

零蘭れいら

「お母さんを知ってるの?…」

僧正坊そうじょうぼう

「あぁ、知っている。美奈みなはよき相方だった。」

零蘭れいら

「どうゆうこと!?」(僧正坊になぐりかかる勢いだった。)

九尾の狐

「まぁ、落ち着き。僧正坊そうじょうぼうはん、説明よろしゅう。人間の娘、うちの耳と尻尾触ってええから大人しくしぃ。」

零蘭れいら

「わかった。」


零蘭は九尾の狐の後ろにいき、尻尾を触ったり耳を触ったりしていた。


僧正坊そうじょうぼう

「美奈とわれは、眷属けんぞく契約をしていた。」

零蘭れいら

「へぇ…結構強いよね?天狗のおじいさん。」


僧正坊は髭を生やしたご老体である。


僧正坊そうじょうぼう

「そうだな。かなり強い。だが、美奈みなも霊力が強くてとても心地の良い霊力だった。だから、我は眷属契約を結んだのだ。」

零蘭れいら

「見たところ、500万ぐらい妖力ようりょくあるよね?」


妖力とは妖のもつ霊力のことを妖力という。


僧正坊そうじょうぼう・九尾の狐

「!?」

僧正坊そうじょうぼう

【霊力値を見られるということは、目を持っているのか、術なのか、それか…本人の霊力値が多いか…この娘の父親を考えれば…あり得ることか…】

九尾の狐

【ふぅ〜ん、おもろそうな子やな。】(ニタっと笑っていた。)

僧正坊そうじょうぼう

「娘…零蘭れいらだったか?大きくなったものだ。」

零蘭れいら

「なんで、名前…」

僧正坊そうじょうぼう

「生まれた時に、われにあっているはずだ。美奈はこの里で子供を産んでいるからな。みお健在けんざいか?」

零蘭れいら

「お兄ちゃんは…殺された!」

九尾の狐

「落ち着きぃ。」(零蘭を抱きしめて自分の腕の中に閉じ込め座った)

僧正坊そうじょうぼう

「詳しいことは、美奈との約束で話せん。そうか、澪は殺されたか。質問をしても良いか?」

零蘭れいら

「何?」

僧正坊そうじょうぼう

「霊力値はいくつだ?」

零蘭れいら

「10月から測定不能になったけど…」

僧正坊そうじょうぼう

「測定不能?」

九尾の狐

「測定不能ってことは、600万以上の霊力を持っとるってことやね。」

零蘭れいら

「そうだね。まぁ、自分の霊力ぐらいある程度ならわかるけど…多分、650ぐらいだと思うけど…」

僧正坊そうじょうぼう

「馬鹿げているな。さすがというべきか…美奈の娘ということだな。零蘭、ここにいて大丈夫なのか?」

零蘭れいら

「知らない。この狐についてきただけ。陰陽師の…十二天将?の家にいたけど…どうせ気にしないと思うし。」

僧正坊そうじょうぼう

「気にしないとは、どうゆうことだ?」

零蘭れいら

「えっと、2.3時間前だから8時半過ぎかな?妖怪に襲われて、見放されたの。十二天将に。やっぱり、人間なんて大嫌い。」

僧正坊そうじょうぼう

「そんなことがあったのか。人間が嫌いか?妖はどうだ?」

零蘭れいら

「う〜ん、わかんない。でも、裏切らないと思う。小さい頃から妖が見えたから…色々あったし。」

九尾の狐

「まだ、お昼や。今日、これから一日ここで過ごしてみればええ。」

僧正坊そうじょうぼう

「あぁ、そうだな。陰陽師の十二天将といえど、東京から京都まではこれまい。そして、ここは現世うつしよではなく常世とこよだ。そうそう、入ってはこれまい。」

零蘭れいら

「そうなんだ?」(よくわからないと言った表情であった。)

僧正坊そうじょうぼう

「お主の叔母の紗奈さなが住んでいる世界だ。ここは、鞍馬山くらまやま…天狗の里だ。」

零蘭れいら

「まだ、よくわかんないけど、わかった!」

九尾の狐

「それ、わかってへんよね?」(苦笑い)


それから、零蘭は好きなように天狗の里で過ごしていた…

少しさかのぼり、早乙女さおとめ深雪みゆき貴人きじんたちは…

会議室にて…


深雪みゆき

由々ゆゆしき事態じたいだ。六合りくごうの屋敷からゼロが消えた。自らなのか、誘拐ゆうかいされたのかはわからない。だが、侵入してきた妖はいないに等しい。大妖怪が関与かんよしていた場合はわからない。各々自分のできることでゼロの居場所をつきとめろ。」


大妖怪とは、とても力が強く大変危険な妖のことである。

しばらくして…会議室にて…


あおい

「ある程度の場所がしぼれた。」

深雪みゆき

「どこだ。」

あおい

「京都付近でゼロの霊力が途切れておった。」

亞夏羽あげは

「京都ですか…東京からですと、かなりの距離がありますね。」

朔羅さくら

「その距離の移動をほんの数分で行ってるんだ…大物だな。」

自由みゆ

「えぇ、そうですねぇ。これは、骨が折れそうですぅ。」

深雪みゆき

六合りくごう青竜せいりゅう太陰たいいん白虎びゃっこ、私で向かう。不在の間、残りのものに任せる。京都への到着は午後5時を予定とする。出発は20分後だ。各々解散!」


零蘭を取り戻すために、十二天将たちは血眼ちまなこになっていた。

時間は過ぎ…午後4時ごろ

零蘭たちは…


僧正坊そうじょうぼう

「零蘭は、警戒心けいかいしんというものはないのか?」(あきれていた。)


零蘭は天狗の里にある千年桜せんねんざくら(天狗の里の中心部にあるとてつもなく大きな桜。千年以上咲き続けている桜。)の下ですやすやと寝ていた。


九尾の狐

「せやな。せやけど、気持ちよさそうや。」

僧正坊そうじょうぼう

「あぁ、部下から連絡がきた。こちらに十二天将が5人向かってきている。」

九尾の狐

「零蘭が帰りたいといえば返したらええ。帰りたないと言うたら、返さへんかったらええよ。」

僧正坊そうじょうぼう

「まぁ、それはそうだが…こじ開ける勢いだ。」

九尾の狐

「入り口を?そないに簡単に開けられるん?」

僧正坊そうじょうぼう

「いや、開けることは無理に等しい。だが、十二天将が5人がかりとなれば隙間は開けられよう。隙間から1人は入ってこられるからな。入られたら終わりだな。ここに当たりをつけてくる当たり…太陰だな。」

九尾の狐

「太陰?」

僧正坊そうじょうぼう

「あぁ、九尾は美奈みなしか関わっていないか。美奈の上司だ。あやつは痕跡こんせきを見つけるのが得意だ。今回も、零蘭の霊力の途切とぎれた場所を当てたのだろう。」

九尾の狐

「ん?そうゆうことなら…」



妖怪紹介!

天狗てんぐ

天狗は種族が4つあり、それぞれが独立した存在となっている。

4つの族の族長たちは年に数回集まって、会議している。

種族はあるが、4つの族は地域によって分かれている。

族は違うが、天狗の種類は共通である。

1、鞍馬くらま一族

活動地域:京都府 鞍馬山

族長:僧正坊そうじょうぼう

特徴:千年桜が象徴である。

天狗の4族の中で1番大所帯である。

そして、力の平均的にも強い。


2、比叡ひえい一族

活動地域:滋賀県 比叡山

族長:法性坊ほうせいぼう

特徴:頭脳明晰なものが多い。

超頭脳派である。


3、英彦ひこ一族

活動地域:福岡県 英彦山

族長:豊前坊ぶぜんぼう

特徴:とても好戦的でいつも鍛錬している。

ほぼ全員、がたいがいい。


4、秋葉あきは一族

活動地域:静岡県 秋葉山あきはさん

族長:三尺坊さんじゃくぼう

特徴:美しさを重視している。

富士山をとても大事に思っている。


上記が各族の紹介である。

次に、種類について。

1、大天狗おおてんぐ

とても大柄である。

力が強く、神通力が使える。

ごく一部が大天狗である。


2、小天狗しょうてんぐ

大天狗よりも小柄である。

力も、大天狗に比べると弱い。

かなりの数がいる。


3、葉天狗はてんぐ

術を使うのに長けている。

諜報活動などが得意なものが多い。


4、烏天狗からすてんぐ

飛行がうまいものが多い。


5、女天狗

その名の通り、女性の天狗のこと。

女性は、例外なくこの種類となる。


上記で天狗の紹介は終わりです。



今回の新・登場人物紹介!

僧正坊そうじょうぼう

年齢不明。かなりのご老体。とても力が強い。

過去に美奈の眷属になったことがある。

鞍馬天狗の族長を務めている。

零蘭と澪のことは孫のように思っている。

とても、慈悲じひ深い。

髪は白く、長い髭が生えている。

手にはいつもうちわを持っている。

このうちわは「天狗のうちわ」と呼ばれ、国宝級である。


story.08に続く

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