story.05 天后

姫咲(きさ)

「…害があるなら少し、面倒なことになりそうですわね。」

零蘭(れいら)

「…」(怯えたような顔をしていた。)

姫咲(きさ)

「そんなに怯えなくても大丈夫ですわ。ゼロちゃんのことは責任を持って私たちで守りますわ。これでも、十二天将ですもの。ふふ」


天后(てんこう)が槍(やり)を取り出し、突きつけた。


天后(てんこう)

「…誰だ?」


透明だったものが姿をなしていった。姿を現したのは…


亞夏羽(あげは)

「僕です。」

姫咲(きさ)

「あら、騰蛇(とうだ)だったのね。天后様。」

天后(てんこう)

「あぁ。」(槍を納めた)

亞夏羽(あげは)

「次は、僕ですから来ました。先ほど、早乙女さんから連絡が来ています。なるべく、移動時間に当てた時間を短縮するようにと。」

姫咲(きさ)

「あら、見てなかったわ。ごめんなさいねぇ。ゼロちゃん、この子すごく性格悪いから気をつけるのよ。ふふ。私、とても大嫌いなの。ふふ。」(すごくいい笑顔のまま話していた。)

亞夏羽(あげは)

「姫咲さん、それは、昔のことです。謝罪しましたよね?」

姫咲(きさ)

「私、根に持つタイプなのよ。ふふ。だから、あなたは一生許さないわ。若作りしてますねとあなた言ったのよ?許せるはずないでしょう?ガキの分際(ぶんざい)で。」

亞夏羽(あげは)

「!…はぁ。」

零蘭(れいら)

【あぁ、無理だ。姫咲さん、本格的に怒ってる。本当に、嫌いなんだなぁ。あの人、運悪いな。】

亞夏羽(あげは)

「まぁ、いいです。行きますよ?」

零蘭(れいら)

「どうやって?」

亞夏羽(あげは)

「転移(てんい)の術を使います。僕に掴まってください。」


零蘭が躊躇(ちゅうちょ)しながらも亞夏羽(あげは)の袖を掴んだ。


亞夏羽(あげは)

「はぁ、もっと掴まってください。」


亞夏羽(あげは)が零蘭を自分に抱き寄せた。零蘭が亞夏羽に抱きついているような感じになった。


零蘭(れいら)

「うわ!!」

亞夏羽(あげは)

「しっかりしてくださいね。人によっては、体調を崩しますから。」

零蘭(れいら)

【この人、本当に性格悪い!!!!やだ!!!!!!!!】

姫咲(きさ)

「騰蛇(とうだ)。ゼロちゃんが怖がっているではないの。子供なのよ?大人なのですからしっかり気を配った方がよろしいと思うのだけれど…嫌われても知らないわよ?」(笑ってはいたが、目が笑っていなかった。)

亞夏羽(あげは)

「…はい。アドバイスありがとう存(ぞん)じます。では、姫咲さん失礼します。」

姫咲(きさ)

「少し待って頂戴。ゼロちゃん、これをあげるわ。」


篆王路姫咲天后は零蘭に自身が使っている夜空のように綺麗なネックレスを零蘭に着けた。


零蘭(れいら)

「いいの?すっごく、綺麗!!」

姫咲(きさ)

「えぇ、いいのですわ。その首飾りは天后様の加護があるのよ。天后様がゼロちゃんに渡すように言伝(ことづて)なさったのですわ。ですから、あなたに差し上げますわ。」(すごく優しく微笑んでいた)

零蘭(れいら)

「本当にありがとう!!!!!!!」(姫咲に抱きついた)

姫咲(きさ)

「いいのですわ。」

亞夏羽(あげは)

「では、失礼します。」

『転移術・大鳳(おおとり)邸(てい)』


転移術・〇〇:転移術は目的の場所に転移する術。術者の力量(りきりょう)により移動できる距離は限られてくる。〇〇の部分には目的地。


目を開けるとそこは、亞夏羽(あげは)の家だった。


亞夏羽(あげは)

「大丈夫ですか?」

零蘭(れいら)

「…きもち、悪い。」


零蘭は倒れてしまった。亞夏羽は零蘭を受け止め、しっかり部屋に寝かせていた。


亞夏羽(あげは)

「悪いことをしてしまいましたかね?転移は使えないようですから、連絡を入れなくてはなりませんね。」


零蘭は、すやすやと寝ていたが、顔色はあまり良くなかった。


亞夏羽(あげは)

『通信術・早乙女(さおとめ)深雪(みゆき)貴人(きじん)』


通信術・〇〇:スマホの通話機能と同じ役割。連絡手段である。声に出さずに会話できる。秘密事項などはこの会話方法が多く用いられる。〇〇には話したい人物の名前が入る。名前と言っても頭の中でその人物が想像できていればフルネームでなくてもいい。


『通信術:早乙女深雪貴人』

亞夏羽(あげは):ご報告があります。

深雪(みゆき):どうした?

亞夏羽(あげは):ゼロのことですが、転移術には体が持ちませんでした。倒れてしまいましたので、これから後のお方には転移術の使用は控(ひか)えるように連絡をお願いします。

深雪(みゆき):そうか。転移は無理か…わかった。全員に通達しておこう。ゼロの様子はどうだ?

亞夏羽(あげは):顔色があまり良くありませんね。いつ起きるか…今は、寝かせています。

深雪(みゆき):わかった。転移術を使用したことは私の命令とゼロには伝えてくれ。頼むぞ。

亞夏羽(あげは):わかりました。ですが、僕は嫌われているようですから…深めることは難しいかと。

深雪(みゆき):騰蛇(とうだ)。お前は、捻(ひね)くれているだけだ。打ち解けられるよう願っている。では、失礼するぞ。

亞夏羽(あげは):はい。


亞夏羽(あげは)

『通信術・解』(・解:←で術を解除したこととなる。)

「(小声で)捻くれている、か。どうすればいいんでしょうね。」


20分後…


零蘭(れいら)

「ん……」(おきた。)

亞夏羽(あげは)

「大丈夫ですか。水です。飲んでくださいね。転移術は早乙女さんの命令です。僕以降は転移術を使用しませんから安心してください。」

零蘭(れいら)

「うん…」(水を飲んだ)

【心配してくれてる?…案外優しいのかも…】

亞夏羽(あげは)

「なんですか、ジロジロ人のこと見ていて楽しいですか?」

零蘭(れいら)

「いや…優しいんだなって。」(花が咲くように微笑(ほほえ)んだ。)


不意打ちで零蘭が笑ったため、亞夏羽(あげは)は照れているように顔を赤くしていた。


亞夏羽(あげは)

「優しくはありません。すみません、気分を害すようなことをしてしまい。」

零蘭(れいら)

「別にいいよ。未熟ってだけだもん。」

亞夏羽(あげは)

「そうですか。」


沈黙(ちんもく)が続いていた。

その後、時間となった。


亞夏羽(あげは)

「そろそろ、時間です。次の人が来ますよ。」


家のチャイムがなり、訪問者(ほうもんしゃ)が来たことを知らせていた。

部屋に来たのは…


楪(ゆずりは)

「お、お迎えに、き、きました。」

亞夏羽(あげは)

「あぁ、楪さんですか。」

零蘭(れいら)

「よろしく、根暗の人。」

亞夏羽(あげは)

「ゼロ、根暗の人は失礼です。」

零蘭(れいら)

「だって、名前知らないし。」

楪(ゆずりは)

「そうですよね…私なんて…いなくてもいいような…」

零蘭(れいら)

「ほら!すっごい、根暗!こんな人見たことない。」

楪(ゆずりは)

「ご、ご、ご、ごめんなさい!!!!!!!」

零蘭(れいら)

「あははははは。」(すごい爆笑していた。)

亞夏羽(あげは)

「失礼ですから。」

楪(ゆずりは)

「移動…」

零蘭(れいら)

「移動?どこいくの?」

楪(ゆずりは)

「私のお家か、近くにある公園はいかがでしょうか?次は、早乙女様ですから、早乙女様の近くもあります。」

零蘭(れいら)

「じゃぁ、公園!」

楪(ゆずりは)

「えぇ、ではいきましょうか。」


大鳳邸を出て、公園についていた。そこで…運が悪いことに事件が起きていた。


零蘭(れいら)

「妖だ…」

楪(ゆずりは)

「えぇ、ここは危ないので待っていてください。」


華瑙(かのう)楪(ゆずりは)天空(てんくう)が退治しに行こうとしたと同時に


妖1

「食ってやる!!!!!!!!!」


妖が近くにいた子供に飛びつこうとしていた。


子供

「きゃぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!!!!!」(泣き叫んでいた。)


子供と少し離れたところにいた母親が


母親

「早く逃げて!!!!!!!!いやぁぁぁぁぁぁぁああ!」(子供に向かって走っていた。)


妖1

「ギャハハハハハ!!!!!!!」

零蘭(れいら)

「あぶなーーーーーーーい!!!!」


story.06に続く。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る