第31話
「ところで、琉愛ちゃん、奏空ちゃんとはいつから付き合ってるの?」
「っ!」
危ないところで、飲んでたスポドリを白木選手の顔面にぶつけるところだった。
えっ?なにこの人。え?そんな直球で聞く?てか、いつバレた?
「え?いつバレた?みたいな顔してるけど、結構前からバレてるよ?」
「そんなに露骨でした?」
「いや?そんな露骨じゃないけど、私たちからすればって感じ」
と奏空と話している黒木選手に目線を向ける白木選手。え?そういうこと?
「勘のいい子は大好きだよ、私」
と、私を見てくる白木選手。ふーん、そういうことか。
「でも、琉愛ちゃんたちのことを私たちが気づいてたってことを知らなかったみたいだから、勘がいいのか悪いのか、わかんないや」
「そうですか…」
「でもね、琉愛ちゃんたちに言っておきたいのは、大事にしなよ。その恋人を」
…?
「なんか、あったみたいな感じのいい方ですけど…」
「ん?まったくなにもなかったよ!だけど」
「だけど?」
「女の子同士ってのは今となってはこっちの世界では当たり前になってきたし、そういう子たちにとっても暮らしやすい世界になってきたけど、そっちの世界ではあんまりなんでしょ?」
「…何で知ってるんですか?」
「んー、私が感じるに、隠そうとしてる感じがしたから、なんかやましいことやってるよ、私たちみたいな感じに見えたからかな」
…。
確かに、そういう子たちは未だに白い目、冷たい目を浴びたり、後ろ指をさされがちな私たちの世界。その一方で、こっちの世界は寛容なのかもと思わせる白木選手の言動。
私たちには暮らしやすいのかもなぁ。
「でもね、琉愛ちゃん」
「はい?」
「恋人がいるならいるではっきりと胸張った方がいいし、なんなら、この子が私のかわいいかわいい恋人だ!って主張しないと、奏空ちゃんがかわいそうだよ?」
と再び二人の方を見る。なんか奏空が顔赤らんでるし。なんの話してるのよ。あっちはあっちで。
「ねぇ、琉愛ちゃん。一回デートに誘ってみたら?」
「デートですか?」
デートに行きたいのは山々だけど、私たちにはバドミントンの練習があって、全く言っていいほど時間が…。
「明後日、休みにするからさ。デートに誘いな?」
「明後日ですか?」
「うん。明後日」
「だ、大丈夫なんですか?一応、国の威信をかけた戦いとかどうとか」
「うん、国の威信をかけたとか言ってるけど、そんなに気を張らなくていいし、少しぐらいは休憩が必要だよ」
「そうですか…。わかりました」
「わかったなら、よし。んじゃあ、練習再開するよ!いい?麻衣たち」
「ええ。大丈夫よね?奏空ちゃん」
「…!はっ、はい!」
なに、顔赤らめてるの。とちょっとだけ嫉妬心にかられた。
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