第8話 マジックバッグ①

アレックさんに抱っこされて着いた場所は、さっきまでいた部屋だった。


「またここ?もうみんな居ないんじゃない?」

「いや、連絡したからすぐに戻ってくるだろう。」


連絡してたところは見てないが…。

他の人にバレてもいいのかな。

【レイ、他の人に知られても大丈夫かな?】

【さっきの人達なら大丈夫だろ。】

まぁ、いっか…。


「連絡はいつしたの?」

「アヤネの話を聞いてたとき。魔法を使ったんだ。」

「魔法?」

「あぁ。魔法が無いと生活できないが、使い方によっては危ないから気をつけろよ。」

「はーい。」


魔法か…。使いたいから、後で誰かに教えてもらおう。そんなことを考えていると、コンコンッと聞こえてきた。


「失礼します。アヤネさんが、マジックバッグを持っているというのは、本当ですか?」

そう言って入ってきたのはノエルさんだった。


「あぁ。本当だ。」

「うん、そうだよ。ねぇ、ノエルさん。他の人たちは?ノエルさんだけ?」

「そうですよ。ヴィンセント王子は、既に帰る支度をしていたので護衛はシアに任せて、僕だけ戻ってきました。ダニエルさんたちは仕事がまだありますからね。」


そうだよね。私、街に来てダニエルさんたちにここに連れてこられて話をしたけど、それぞれみんなの仕事があるんだよね。


「そうなんだ。みんな忙しいもんね…。でも、またノエルさんに会えて嬉しい!」

「僕も、可愛いアヤネさんに会えて嬉しいですよ。」


会ってすぐに可愛いとかっ!

モフモフしたくなるじゃんか!!

落ち着け私〜!


「話を戻しましょうか。アヤネさん。そのマジックバッグはお母さんから、貰ったのですか?」

「うん。誕生日にくれたの。」

「そうですか。使い方は知っているのですか?」

「知ってるよ!…ほらっ」


やったことは無かったが、試しに使ってみることにして、とりあえず水を思い浮かべてバッグに手を入れて、出してみた。すると、2人が目を見開いて私の手で掴んでいる水(ペットボトル)を見ていた。

「どうしたの?何か変?」

使い方が違かったのかと不安になると、そこではなかったようだ。


「…水、ですか?それは、飲めるのですか?」

なんちゅー質問をしてくるんだ、ノエルさんは。飲めないものはとっくに捨ててるよ。

「?飲めるよ。飲んでみる?」

「では、試しに一口…。」

飲んだあとも目を見開いている。

ほんとにどうしたのだろうか。


「…不味かった?」

「美味しいです!普通の水とは少し違います!アレックさんも是非!」

「あ、あぁ。…っ。美味い!」

「そんなに美味しい?ちょとちょうだい。」


私も飲んでみたが、いつも日本で飲んでいる水と変わりなかった。美味しい水もあるけど、これは普通のだよね?

「これ、普通だよ?そんなに美味しかった?」

「えっ、これが普通…。少し待っててください。」

そう言ってノエルさんは部屋から出てってしまった。

戻ってきたら、手には水の入ったコップを持っていた。


「アヤネさん。この水を飲んでみてください。」

「うん。…なんか、美味しくないね、これ。」

「美味しくない訳ではなく、これが普通なのですよ。」

「そうなの?…私、やらかしちゃった?」

「いや、アヤネは悪くないから大丈夫だ。」

「そうですよ。自分を責めるのはよくありません。他には、何が出せますか?」

他かぁ…。服でいっか。

Tシャツを思い浮かべて出してみた。


「…これは、シャツですか?」

「うん。」

「そうですか…。質がいいですね。どの素材を使ったのでしょう…。」

「シンプルな見た目だが、綺麗だな。人気がありそうだ。」


Tシャツ、いがいと好評なんだね…。私もTシャツ好きだよ。でも、今から嫌いになりそう…。

まだ続きそうな話に、遠くを見つめる私だった…。(´;ω;`)


╴ ╴ ╴ ╴ ╴ ╴ ╴ ╴ ╴ ╴ ╴ ╴


最後の顔文字は、アヤネの心です。

何となく入れてみました。

では、次の話でまたお会いしましょう。 (˘ω˘)スヤァ...

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る