第7話 買い物

手を握ったまま部屋を出て、アレックさんとレイに挟まれて歩いていると、【アレックがアヤネを見ているぞ。気持ち悪いな。】

見てみると、アレックさんがチラチラと私を見ていた。

「アレックさん、どうしたの?」

「!いや、その…。歩きづらそうだと思って…抱っこしようか?」

抱っこと聞いて、すぐに手を伸ばした。すごく歩きにくかったのだ。

「してー!」

即答したからか、レイの耳が垂れていた。

「…どうだ?これで大丈夫か?」

「うん!ありがとうアレックさん!」

揺れないように、気をつけて歩いているアレックさん。優しい。


しばらく歩くと、大きな扉があった。

そこを開くと、人がたくたんいた。

「お腹は空いているか?食べたいものはあるか?」

「お腹すいてる!なんでも食べれるよ。」

「肉は好きか?」

「大好き!」

肉に対しての大好きなのに、アレックさんは顔を赤くしていた…。


「これはどうだ?」

アレックさんが指で示した食べ物は、お肉が串に刺さっている、焼き鳥だった。

「おいしそう!なんて言うの?」

「これは焼き鳥だ。」

なんと!この世界は日本と同じ食べ物があるのか!うれしいなぁ。

アレックさんが食べるか聞いてきたので、食べたいと言うと、買ってくれた。


「熱いから気をつけろ。…どうだ、うまいか?」

「ハフハフ…。うん、美味しい!」

日本で食べてた焼き鳥と同じ味がして、この世界でも食べれるのだと思い、嬉しくなった。


「なら良かった。」 ニコッ

…え。アレックさんが初めて笑った。アレックさん、笑うと可愛い。

アレックさんの笑顔をガン見してたら、「俺の顔、なんかついてるか?」

なんて聞いてきて。

美しい顔がついていますよ…。


「なにもついてないよ。ただ、笑わないアレックさんもカッコイイけど、笑ったアレックさんは可愛いなぁって思っただけだよ。」

「そ、そうか…。ありがとう。」

耳まで真っ赤にして照れている姿は、とても可愛かった。

本当はもっと可愛い姿を見ていたいけど、喉が渇いたので終わりにしよう。


「アレックさん。のど、渇いた。」

「なにか飲めないものはあるか?」

「特にないよ。」

「りんごジュースは好きか?」

「好き!飲みたい!」


アレックさんはバッグに手を入れて、ジュースを出してくれた。

(そういえば、私もバッグあるけど中身確認してなかったな。…飲みながらでもいっか。)

「はい、どうぞ。…何か必要なものはあるか?」

「ちょっと待ってね…。」


試しに、何があるのかバッグを見つめて見ると、 ブォンッ と音を立てて表のようなものが出てきた。

それぞれ衣服・飲食・道具・その他と分かれており、試しにを衣服をタップしてみると、1番上にTシャツ×4と書いてあった。

他にも、スカート、ズボン、セーターなどが書かれていた。

飲食は、水、お茶、牛乳、オレンジジュース、米、パン、魚、卵、リンゴなどと、たくさんの種類があった。

道具は、水筒、包丁、菜箸、鍋などがあった。

その他には、コップ、箸、皿、タオル、ハンカチ、ティッシュ、歯ブラシなどが書かれていた。


(う〜ん…。服はあるし、食べ物も飲み物も充分足りてて、何か作ることも出来て、ハンカチもある…。他に要る物ないな…。)

暫く待っても返事がないからか、アレックさんが声をかけてきた。


「アヤネ、大丈夫か?どうした?」

「や、なんでもないよ。それよりね、アレックさん。私、必要なものないから、何も買わなくていいよ。」

正直に言ったのに、アレックさんは困った顔をしていた。

「別に遠慮はしなくていい。なんでもいいんだぞ?」


ほんとに要らないのに…。アレックさんは、保護者になるから信頼できるかな…?レイに聞こう。

【レイー。アレックさんに、バッグのこと言ってもいいかな?】

【大丈夫じゃないか?アヤネのことを心配しているみたいだしいいだろ。】

レイからの許しがあるから、いっか。


「あのね、アレックさん。私、お母さんから、貰ったバッグがあるんだけど、この中に必要なものとかは全部入ってるの。だから、ほんとに大丈夫なんだ。」

「…全部とは、これからの生活に必要なものか?服も?」

「うん。スカートも、ズボンも。」

「…。そうか。少し聞きたいから、場所を移動しよう。」


そう言って抱っこされた。

また話か…。上手く逃げようと思ったが、しっかりと抱えられていて、抜け出せなかった。

レイも、【諦めて話そう。アレックは大丈夫だろう。】と言ってきた。

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