応援コメント

その世界に合った言葉で」への応援コメント

  •  こんにちは。

     今回のお話は僕も普段から気をつけていることですが、こだわり始めると意外と難しいですよね。
     自分でもうっかり書きそうになるのは「電池が切れる」(=疲れて活力が湧かなくなる)、「思考回路がショートする」、「フリーズする」などで、電化製品がない社会の住人がそんなこと言わないだろう、と思い直します。「清水の舞台から飛び降りる」「ローマは一日にしてならず」など固有名詞が出てくることわざも、異世界ファンタジーでは使わないようにしています。
     ただ、その一方、「仏頂面」、「台無し」(共に仏教が由来)、「蚊帳の外」などは、読者に語源を意識させないほど日常に深く浸透した慣用表現ということで、許容範囲と考えることにしています(拙作でも使っています)。
     悩ましいのは、「くわばらくわばら」(くわばらという日本の地名が由来)、「私の目の黒い内は――」、「詰んだ!」(将棋由来の、おそらくネットスラングと言える表現)などです。西洋的なキャラクターが口にするには変な台詞という印象が拭えませんが、かといって他の表現に言い換えるとニュアンスが変わりそうな気もします。
     また、多少世界観にそぐわなくとも、新しい言葉のままにした方が良い場合もあるかもしれません。たとえば、「オネエ」や「男の娘」を異世界ファンタジーの世界観に合わせた古い表現に直そうとすると、どうしても侮蔑的な意味合いの強い用語を使うことになり、(書き手の真意に関係なく)語り手や発言者がそのキャラクターに対して差別意識を持っていることになってしまうと思います。

     こうして改めて考えてみると、つくづく、言葉というものはそれを使う人々の生活や価値観に深く根ざしているのだと思い知らされます。我々の社会とは別の社会の言葉で物事を語ることは難しいですが、しかし(あるいはだからこそ)、小説を書く者の端くれとして、そういった細部にもこだわっていきたいと思います。言葉を切り口とすることで、自分の小説の登場人物たちの半生や世界に、より真摯に寄り添うことができるようになるような気がします。

     長文失礼しました。

    作者からの返信

    こんばんは、あじさいさん。
    たくさんのメッセージをありがとうございます。

    おっしゃるとおり、言葉を選ぶのは簡単ではありませんね。おそらく、わたしもうっかりや知らずに使っているものがあると思います…。
    (ーー;)

    さすが、広くて深い知識をお持ちで。以前あじさいさんの作品で「野菜ジュース」についてふれられていましたが、今回の話はリアリティの点で似ていますね。
    言葉についてうるさくなりすぎるとかえって表現の幅を狭めてしまいそうですし、あえて使う場面もあるかもしれません。

    細部にもこだわり、世界に寄り添うはすてきな考えかたですね。
    (๑˃̵ᴗ˂̵)