第8話 お別れ

 今日は少女と喧嘩をした。理由は覚えていない。

 なぜか彼女は激しく怒り、家を出た。学校からの連絡で急に寮に入りたいと言って来たことがわかり、僕からも寮に入れてもらえるように頼んだ。

 まあ、いつか嫌気がさしてここを出ていくことはわかっていたから、寂しくはなかった。ただ、ああやっぱり、という感情だけが溢れていた。



(そうなんの感慨もなく書かれた文字は、涙で滲んでいた。どうして日記でまで、自分の感情に嘘をつくのだろうか……この人は)


 だれかの涙が、また日記の文字を滲ませた……。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る