第9話 僕の愛する人へ

 これを君が読んでいるとき、僕はもうこの世にいないだろう。


 なんてお決まりのことを書いてみたけど、案外君が悪戯に僕の日記を見ただけかもしれないね。


 君は初めて会ったときから僕にやたらと引っ付いて来たけれど、あれはなんでだい?


 同じようなことを昔君のお父さんにも聞いてみたけれど、結局教えてくれなかった。


 君はきっと、僕が君を嫌いだと思っているだろうね。


 なにせほとんど笑わず、君を邪険にしていたんだ。


 本当はずっと言いたくて言えずにいたから、ここに書いておこうと思う。


 僕は君を愛しているよ。それが親子愛なのか、兄妹愛なのか、友愛なのか、恋愛なのか、他のなにかなのかは僕にはわからないけれど、僕は君を愛している。

君のお父さんのことはトモダチとして好きだったけど、君への愛情とは違うようだ。


 いつか君は気づくだろうか? 僕が誰よりも君を愛していたことに。


 僕は遠からず君より先に消えてしまうけれど、生活の心配はないよう、遺産が君に行くよう手配したから安心してね。


 どうか僕の分まで生きてね。


 君の幸せを心から願っているよ。


 いつもと違う口調で書いたから君は僕の文章だとわかってくれないかもね。


 あはは。じゃあ、またね。


 あなたに永遠の愛を

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