サンプルシナリオ「GUI GUI ゴブカー」

ゴブカー


それはゴブリンと大八車を組み合わせた、D&Dあたりだと割と見かける車両


人間の愚かしさをあざ笑うかのように、今日も素材狙いの底辺冒険者を蹂躙する


間引きや素材調達が落ち込んでることを問題視したギルドは


ついにゴブカーに賞金を懸けた!




この素晴らしい世界に祝福を!TRPG

この世知辛い現代にダンジョンを!シチュエーションシナリオ

GUI GUI ゴブカー


■シナリオレギュレーション

 初期作成キャラクター4人を想定しています。PL人数が多かったり少なかったりする場合は、一人で複数のPCを使うとか、複数で一人のPCを使うとかしてください。

 チートに関してはGMが決めてください。

 舞台は群馬県館林市文化会館の駐車場にできたダンジョン、通称「館林ダンジョン」になります。冒険者はその周辺で活動していることにしてください。

■導入

【DEAD ONLY】

 先ずGMは以下の導入描写を読み上げてください。途中何を言われても無視してください。


=====導入描写=====

 乾いた荒野の風とバーボンと焼きまんじゅうの香りが漂う館林ダンジョンギルドのサルーン。荒くれの冒険者達がカードや噂話に興じている最中、カウンターの奥から出てきた職員がコルクの掲示板に新しい貼り紙を出した。


 ゴブカー ¥1,000,000 DEAD ONLY


 ざわりと、サルーンの空気が変わる。新しい賞金首の登場に、飢えた獣たちの目に火が入った。そう、お前らもその飢えた獣の一匹だ。

=====ここまで=====


 「館林を何だと思っているんだ」等の非難がPLから来たら「シナリオに書いてある。俺は悪くない」と答えてください。

 ともあれ、ここでこの賞金首を狙うのがこのシナリオであることをPLと再確認してください。「賞金稼ぎじゃなくてもっと地道に稼ぎたい」とか言い出した場合、今のキャラをセッションから除外して賞金稼ぎをしたがる新しいキャラを作らせてください。

 特に問題なく全員が賞金を狙う意思を固めたら、次の【情報収集】のシーンに移って下さい。


【情報収集】

 ゴブカーを狙うにあたって情報収集をするシーンです。公的資料やネット記事や冒険者への聞き込みで情報を収集します。

 先ず館林ダンジョンを含めて現時点で分かっていることが以下になります。


・館林ダンジョンの第一階層は、太陽のない青空の下の荒野。赤い土の丘陵が延々と広がり、ところどころに低木やサボテンが生えている。気温は高いが湿度が低いため、鍔広の帽子とマントを着用する冒険者が多い。

・かなり見通しがいい地形のために、弓や魔法などの飛び道具が重宝される。

・モヒカンのゴブリンとか羽毛のコヨーテとかが主なエネミー。ところどころに魔結晶の鉱脈があって、冒険者同士の縄張り争いも激しい。

・冒険者同士の尋常沙汰は「たまにある」程度にある。大体は死者が出る前に逃げる……はずだが、行方不明者もいる。

・第二階層へのポータルは発見されているが、今回のシナリオには関係ないので割愛する。

・ゴブカーとは、大八車を鱗猪に引かせてゴブリンが操る戦闘車両。御者が一匹に射手が二匹の構成。

・イノシシを含めて全体を囲うように木の枝を編んだカゴで覆っており、これで高速で近づいて近くを通り過ぎざま矢を撃って逃げていくのが主な攻撃方法。

・ダンジョン素材の採掘や、魔物と戦闘しているところに横合いから矢を射かけてきて邪魔をするという行動をとる。

・追いかけると逃げる。で、戻って稼ごうとするとまた邪魔してくるという非常にうざい魔物。

・以前にも出現し、同じように倒された。

・自動ドロップ品の「ゴブカーの勲章」をギルドに提示すれば賞金が支払われる。


 以上が判定なしでわかることになります。

 これ以上の詳しい情報は判定が必要になります。以下の情報項目に関して判定を行ってください。判定に失敗しても再挑戦が行えますが、経費が掛かったということでアフタープレイでのライフスタイル支払い処理の際に「再挑戦回数D6×千円」をパーティで支払ってください。

 判定に使用する能力値は[知力][感知][精神][幸運]の中から好きなものを判定者が選んでください。

 最初に調べられる情報項目は[以前のゴブカー討伐]と[ゴブカーの出現場所]の二つです。全部の情報項目を調べたら【地球のど真ん中】に移ります。


●情報項目

[以前のゴブカー討伐]

内容:神出鬼没ですぐ逃げるゴブカーをいかに倒したのか。資料や聞き込みで以前のの方法を見つけてくる

目標値:11

内容:人数分の原チャリを用意して、逃げるゴブカーを追いかけて追い込んで横転させてから倒した。ただし、かなり無茶な運転をしたので原チャリは全部使い物にならなくなった。情報項目[原チャリの調達手段]を手に入れる。


[ゴブカーの出現場所]

内容:どこに出るかを理解しておかないと倒しようもない。冒険者に聞き込みを行い襲撃可能なポイントを絞ろう。

目標値:12

内容:出そうな場所にアタリを付けることができた。この辺で素材採掘のふりをしていればつり出すことができるだろう。

 話を聞いて回っているうちに、5人組の冒険者パーティも本格的にゴブカーを狙っていると分かる。三好、前田、安藤、光山、藤丸という五人。特にパーティ名はないが、パチンコやガチャの金でいつも切羽詰まっているらしい。どうやら移動手段を手に入れているようだが……?


[原チャリの調達手段]

内容:質は問わないけど、なるたけすぐに安く手に入れたいなあ。長く使うわけじゃないし、保険とかも払いたくない。そんな理想を満たす手段はないだろうか。

目標値:13

内容:チョイと訳ありの廃品回収業者を見つけた。壊れたバイクやスクーターなどが運び込まれているらしい。


【地球のど真ん中】

 郊外の県道沿いにある廃品回収業者「地球のど真ん中」です。

 モヒカン頭の中年男性が、廃品のバイクを分解しているようです。声をかけると面倒くさそうに応じます。

 冒険者が事情を話すと。「俺が廃品からニコイチでくみ上げた奴なら1台10万で売ってやるぜ。ダンジョン入り口まで運ぶのもやってやる。支払いは賞金を手に入れたらでいい」と彼は言います。

 さて、ここで冒険者にはいくつかの選択肢があります。

 1.彼の言い値で払うことを約束する。

 2.値切る。代表者一名が精神で判定し、達成値×1万円を値切ることができる。(最大で20万円値切れる)ただし、その原チャリを使用した判定全てに-1の修正が付く。

 3.2台だけ買って、二人乗りで挑戦する。原チャリを使用した判定全てに-2の修正が付く。

 基本はこの三つです。もし二台だけ買ってさらに値切ろうとすると、儲けが出ないので断ります。他に冒険者の提案があれば聞いてあげてください。

 商談がまとまったら【挑戦者】のシーンに移ってください。


【挑戦者】

 冒険者達が駐車場で原チャリの到着を待っていると、五人の冒険者達が声をかけてきます。彼らは全員自転車を用意しています。ホームセンターで売ってる1台8千円ぐらいのシティサイクルです。

「ふふっ、どうやら僕たちの方が早かったみたいだね」

「兄さんたちがゴブカーを狙っているってのは既に聞いてたよ」

「どんな作戦を練っていたのかは知らないけど、早い者勝ちだ。恨むなよ」

「冒険者ってのは自己責任だからな!世の中頭のいい奴が賢いんだよ!」

「ゴブカーはピックアップ代にさせてもらうぜ!」

 言いたいだけ言って彼らは自転車を担いでダンジョンに入っていきます。彼らが行った後に、地球のど真ん中と書かれたトラックが入ってきてシーンは終了します。【彼らは時代の敗北者じゃけえ】に移ってください。


【彼らは時代の敗北者じゃけえ】

 マスターシーンになります。GMは以下の描写を読み上げてください。


=====状況描写=====

 赤い荒野をゴブカーが走る。今日も生意気な人間どもを追い散らしてやった。なぜそんなことをしているのかはわからない。ただ、それが楽しいのだ。 偉そうに自分たちのテリトリーに我が物顔で踏み入る。そんな人間に思い知らせてやるのが楽しいのだ。

 そんな彼らの気分をぶち壊すように人間の声と聴きなれない音が響く。荒野を走るゴブカーを追いかける五つの影。5人の冒険者が自転車で追いかけているのだ。

 舗装のない道を必死に自転車が走る。脚で走るよりはよほど速い、ゴブカーに匹敵する速度を出すことができる。

 ……がっ!!……ダメ!!追うことができる速度は出る、が!追いつけない!!鱗猪の速度もまた、自転車級!!

 速度が同じであれば、当然試される、体力……ッ!!みるみる削られる……ッ!!

 加えて、ゴブリン達が構える飛び道具、弓……ッ!撃たれる!一方的に!

「グワーッ!!」

 先頭を走る三好の肩に当たる!

「グワーッ!!」

 横転して前田が巻き込まれる!

「グワーッ!!」

 避けようとして光山が転ぶ!

「グワーッ!!」

 踏み越えようとして結局安藤が転ぶ!

「グワーッ!!」「グワーッ!!」

 元より遅れていた藤丸が息も絶え絶えに止まる!

「ゼヒーッ!ゼヒーッ!」

 もうだめか、追いつけないのか絶望が彼ら胸に去来したその時!

 軽快なエンジン音とともに原チャリに乗ったPC達がゴブカーを追いかけていく!

=====ここまで=====


 この状況でPCは登場します。彼らに通り過ぎざま声をかけるのは自由ですが、車を止めるとゴブカーを逃がすかもしれないと伝えておいてください。

 どのような言葉であれ彼らは悔しがります。PC達がゴブカーを追いかけたらシーンからPCが退場します。その後GMは以下の描写を読み上げてください。


=====状況描写=====

 荒野に倒れた敗北者たち。誰も見るものがいななったところで三好が立ち上がりこう叫ぶ。

「畜生!アイツら僕たちが下手に出てるのをいいことに卑怯なことしやがって!!」

「卑怯?」

「そうだ!卑怯だ!そもそも俺達の方がゴブカーには先に目を付けてたんだ!!」

「そうだな!横取りするなんてなんて卑怯な奴らだ!」

「しかもバイクを使うなんて!」

「男だったら生身一つで勝負せんかい!」

「おいかけて、わからせてやるぞ!」

「そうだ!アイツらが悪いんだ!!」

 敗北者たちは、再び立ち上がる!

=====ここまで=====


 描写が終わったら【ケチャップ!】に移ってください。


【ケチャップ】

 ゴブカーを追い込んで横転させる判定です。これは【継続判定】を使用します。解決ポイントを貯める判定は、運転者の[敏捷性]か[器用度]の高い方。もしくは同乗者が行う攻撃魔法の命中判定になります。必要な解決ポイントは8点。時間制限はありませんが、行動値0のタイミングでランダムな二名に命中4+2D6 ダメージ8+2D6の射撃攻撃が飛んできます。

 必要解決ポイントが貯まったら、クライマックスフェイズの【VSゴブリン】に移ります。


■クライマックスフェイズ

【VSゴブリン】

 横転したゴブカーからゴブリンが3匹現れます。鱗猪はかわいそうに首を折って死んでしまったようです。

 戦闘になります。敵はゴブリン(P280)が2体とゴブリンリーダー(P285)が1体。PCのエンゲージから3D6m離れたところに敵のエンゲージがあります。原チャリに乗って戦闘することはできないものとします。

 エネミーを全滅させたら【敗北者再び】に移ります。


【敗北者再び】

 PC達がゴブリン達からはぎ取ろうとしたときに、足元に矢が飛んできます。振り向くとそこに三好、前田、安藤、光山、藤丸の五人が武器を構えています。

「そこまでだ!僕たちの得物を横取りしようなんて卑怯者め!!」

「ゴブカーには俺たちの方が先に目を付けていたんだ!!」

「置いて立ち去れば痛い目を見ないで済むぞ!!」

 彼らはめいめいに勝手なことを言いますが、全く話を聞く気はありません。PCが譲らないようであれば戦闘になります。

 PCのエンゲージから2D6m離れて三好と前田と安藤のエンゲージ。其処からさらに2D6離れて光山と藤丸のエンゲージがあります。

 敵のデータは全員山賊(P281)を参照しますが、光山と藤丸だけ攻撃手段が以下のものに変わります。

●光山/弓矢/射撃/物理/射程20m/単体/命中7+2D6/ダメージ11+2D6

●藤丸/光弾/魔法/魔法/射程20m/単体/命中7+2D6/ダメージ11+2D6

 この戦闘ですが、彼らは戦闘可能な人数がPCより少なくなった時点で降伏します。「うわー!降参だー!」「もうやめてくれー!」「俺は反対したんだー!」などと言いますが、特に全員差はないです。降伏した時点でゴブリン達を含めたドロップ品と「ゴブカーの勲章」をはぎ取りできます。

 彼らの処遇ですが、とっつかまえてギルドに突き出せば館林ダンジョン出入り禁止ということになります。彼らの所業は以前からギルドで問題視されていたようなので、PCが責任を追及されることはありません。【奴らを高く吊るせ!】へ進んでください。

 負けた場合は、冒険者たちは館林ダンジョンの荒野で気絶したまま放置されます。その結果どうなるかはGMに一任されます。


■エンディングフェイズ

【奴らを高く吊るせ!】

 冒険者達はゴブカーの勲章をギルドに提出し、確認が取れたところでカウンターに100万円の札束がおかれ、掲示板の貼り紙には「Hunted」のスタンプが押されます。ライフサイクルや「地球のど真ん中」への支払いを済ませたらシナリオは終了です。


■アフタープレイ

 経験値算出です。


●クエストに成功した

 ゴブカーを仕留めた: 5点

 襲撃してきた5人を撃退した:5点


●エネミー合計

 ゴブリン 4レベル

 ゴブリンリーダー 4レベル

 冒険者5人 10レベル


●トラップ合計

 継続判定 8レベル

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