サンプルシナリオ「この仕事を片付けて焼肉を!」
「冒険者は 気楽な稼業と きたもんだ」
誰の言葉かわからないが、気はともかく命が軽い稼業には違いない
ギルドに行って、仲間を募って、さあ一狩り行こうぜ!となったとき
ギルドの職員が声をかけて来た
「ちょっとここじゃないダンジョンの依頼なんですが受けていただけますか?」
「間引きの規定料金と、あと焼肉クーポン券が報酬につきます」
今日は素材狩りの予定だったけど、焼肉が付くなら悪くないかな
この素晴らしい世界に祝福を!TRPG
この世知辛い現代にダンジョンを!シチュエーションシナリオ
この仕事を片付けて焼肉を!
■シナリオレギュレーション
初期作成キャラクター3~5人を想定しています。チートに関してはGMが決めてください。冒険者たちは東京秋葉原が最寄りのダンジョン、通称「アキバダンジョン」を主な活動地域にしていることにしてください。
■導入
冒険者のみんながアキバダンジョンのギルドで待ち合わせをして、全員集まったところから話は始まります。アキバダンジョンがどんなところかはシナリオで決めないので、プレイヤーにどんな所がいいかと聞いてください。
そのうえで冒険者たちがダンジョンに入るためにギルドの受付にいくと、受付の人から「すいません、ちょっとお願いしたいことがありまして」と声を掛けられます。
受付の人は「音無セイカ」という緑色の制服を着て通信用のヘッドセットをつけた妙齢の女性です。その胸は豊満でした。
音無セイカが言うことをまとめると以下になります。
・ここから近い別のダンジョンで今日間引きが行われるはずだった。
・しかし、予定していた冒険者が急遽来られなくなった。
・入り口付近のゴブリンの間引きの依頼を受けてもらえないだろうか。
・目標はゴブリン20体(10モブ)の撃破。証拠に死体画像を取ること。
・報酬は規定のチームで10万円。それに加え緊急報酬として焼肉屋の割引クーポンが付く。
・潜るダンジョンは地下鉄構内の廃路線にある「旧初台駅ダンジョン」。
・廃路線を20分は歩くうえに駅員の案内が必要なので一般の冒険者はこない。
・ここ専門のチームが定期的に間引き依頼を受けていた。
・冒険者が来られない理由は個人情報なので開示できない。
命を懸けた冒険なのに依頼料が安い様に見えますが、魔物からとれる素材がそこそこ高額で売れるので、確実に魔物が出るであろう間引きは額面以上に儲かることを知っていていいです。
ちなみに冒険者がこの依頼を断ってもギルドからは何もありません。ただシナリオがなくなるのでプレイヤーが困ることになるとGMは宣言してください。
冒険者が依頼を受けたら「旧初台駅」のシーンに行きます。
■旧初台駅
冒険者たちは五十歳ぐらいの駅員さんに案内されて、非常灯だけの暗い廃路線を進んでいます。 案内する駅員さんは「山田敏夫」さんと言う名前で、人が好さそうなおじさんです。山田さんはこの仕事を受けてくれたことを感謝しています。
「いやあこんなめんどくさいところの仕事を受けてくれてありがとう。助かるよ」
「普段は渋谷に住んでる冒険者の子が受けてくれるんだけど、ちょっとあってね」
「魔力適正のある駅員はどうしても現行路線に近い方に行くことになっちゃうからね」
「うちの息子も冒険者やろうとしてたけど、魔力適正がなくてねえ。いまでは公務員ですよ。」
「残念と言う気持ちもあるんだけど、親としては切った張ったの仕事はやっぱり心配だったりもするもんですよ」
そんな話をしながら進んでいくと、山田さんがあと少しで封鎖区域だと言及します。そんなタイミングで、全員感知で目標値8の判定をしてください。失敗すると違和感を感じます。成功すると、手にした武器が使えるようになっていることに気が付きます。要するに封鎖区域を越えて魔力が漏れてきています。
冒険者たちの様子を見て先頭を歩いていた山田さんが振り返ると、突如現れたゴブリンに殴られて攫われてしまいます。冒険者たちが助けようとすると。別のゴブリン達が立ちはだかってゆく手を阻みます。
戦闘になります。敵はゴブリンが3体。PC達と同じエンゲージです。
戦闘終了後、冒険者達には二つの選択肢が提示されます。一つはすぐに追いかける選択肢。もう一つは、予想外の事態が起こったので一度撤退して報告する選択肢です。
電話等でギルドに連絡するならば、二次災害を防ぐためにそこでダンジョンの方を警戒しつつ待機して応援を待つようにと言われます。ですが、それだと山田さんが助からないであろうことはなんとなくわかっていいです。また、応援が来れば自分たちの出番はなく、収入もないことが予想されます。ライフパス分の支払いができなければ、借金ということになるでしょう。もちろん経験点も手に入りません。
というわけで、以降のシナリオは冒険者たちが山田さんを助けるためにダンジョンに向かうことを前提に書かれます。
冒険者が山田さんを助けに向かったら「ダンジョンアサルト」のシーンになります。
■ダンジョンアサルト
山田さんを助けに向かうと、封鎖用の金網フェンスの一部が破れています。どうやらゴブリン達はここから出入りしたようです。冒険者たちも出入りできますが、ゴブリン用であるためにかなり狭く、針金の先端がむき出しになっています。
レベル1相当のトラップとして扱い、中を通るのに目標値10の敏捷判定を行います。失敗しても通れますが、3D6の物理ダメージを受けます。解除の目標値は10です。
先に入った誰かが結構な流血をしておりそのあとが点々と続いています。血はまだ乾いていないので、逃げていったゴブリンか山田さんだと推測できます。
旧初台駅ダンジョンの入り口は、廃墟になった駅のホームに木製の扉があるという形で存在しており、今はその扉が開いて血の跡が続いています。中は石造りの地下迷宮といった内装です。
血の跡はだんだんと小さくなり、やがて廊下の途中で消えてしまいます。
さて、現在の冒険者の状況ですが。もともと間引き依頼をこなす予定であったため、1階層の地図はもらっています。そのため道に迷って戻れなくなることはありません。ただ指定された範囲の狩場からは離れてしまったため。此の先にある危険などは書かれていない場所に来てしまいました。地図上では、此の先に一つの部屋。そこから右と左に通路が伸びて、その先にそれぞれ部屋があり。そこで袋小路になっています。
冒険者が意を決して進むのであれば「分かれ道の部屋」に進んでください。
■分かれ道の部屋
部屋に入ると、ゴブリンとコボルドがサイコロ博打をしています。PC達が入れば武器を取って襲ってきます。
戦闘になります。配置はPCが1エンゲージ。そこから5m離れてゴブリン3体のエンゲージ。さらにその奥5mの所にコボルド3体のエンゲージです。ゴブリンのエンゲージは迂回できません。こいつらを倒すと、賭け金として使われていたHPヒールポーションが(8-冒険者の人数)本ほど床に転がっているのを見つけることができます。
この部屋には他には赤い扉と青い扉があります。赤い扉には「此の先に向かうものは絶望を得る」とナイフで刻まれています。青い扉には「此の先に向かうものは希望を失う」と血文字で書かれています。どちらも日本語です。他に判断する材料はありません。どちらに向かうか聞いてください。冒険者が移動を開始したら次のシーンに移ります。
※注意:GMのみの秘密事項※
この扉の選択ですが、実は意味がありません。先に行った方の部屋を次のシーンに行く「研究室」だったことにしてください。後に行った方の部屋が「ボス部屋」です。当然プレイヤーには秘密にしてください。
■研究室
数冊の羊皮紙の本と書見台。どこかから盗んできたであろうキャンパスノートと鉛筆が見受けられます。書見台には落とし穴が仕掛けられているので迂闊本を読もうとすると落ちます。書見台に開かれているのは魔導書のようです。読んでみると「妻子ある中年男性の生き胆をささげ、地獄のフランチャイズ支店長の一柱であるハロルドの力で、無防備な女子高生に出会いやすくなる加護を得る」という魔術儀式のやり方が書いてあります。この部屋はこれで全部です。最後の部屋に向かったらクライマックスフェイズになります。
■クライマックスフェイズ
冒険者たちが最後の部屋に入ると、そこでは石造りの祭壇に山田さんが亀甲縛りで縛り付けられ、そのそばにはショートソードを持ったゴブリンリーダーが謎の呪文を唱えています。その周囲をゴブリン達が取り囲み、呪文を唱和し地獄の悪魔を呼ぶ儀式をしているようです。
冒険者たちが止めに入れば戦闘になります。基本的に敵は儀式に集中してるのでPC側が不意を打った形になります。敵はゴブリンリーダーが1体とゴブリンが5体。PCはそこから5m離れたところで1エンゲージです。不意を打っているので、1ラウンド目は敵は行動できません。山田さんは戦闘に巻き込まれないものとします。
ゴブリン達を全滅させればエンディングです。
■エンディング
冒険者たちがゴブリンを退治し、山田さんを助けると山田さんはすごく感謝してくれます。その後ダンジョンを脱出しギルドに報告をすると、二次遭難を起こしかねない危険な行為だったとお説教を受けます。ですが、クエスト自体は成功しているので約束された報酬は支払われます。報酬で焼肉クーポンが支払われるのを見た山田さんは「お礼に焼肉を奢らせてくれ」と言います。それに冒険者が返事をしたところでシナリオは終了です。
■アフタープレイ
先ずライフスタイルの支払いですが、エンディングで山田さんに焼肉を奢ってもらった場合払わなくていいです。
次に経験値算出です。
●クエストに成功した
山田さんを助けた: 5点
トラブルの時ギルドに連絡を入れた:5点
●エネミー合計
21レベル
●トラップ合計
2レベル
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