第153話 変化
「ロ主人様~」
何やら聞こえてくるが無視をする。俺はロリコンではない。
「ロ主人様~」
だから無視だって。赤星さんが小さすぎるんだよ、合法ロリなんだよ。
大体未成年同士はお咎めないのに……なんて論議をするつもりはないけど。
「ロ主人様~」
いい加減うっさいな。
確かに単純な好みだけなら年上よりは年下の方が好きだけど。
とはいえ好きになった人がタイプってやつに落ち着くだろう大抵の人は。
「ロ……」
「俺はロリコンじゃねぇ。」
流石に黙ってても進まないと思って返してしまった。
茜と関わるようになってから俺の性格変わってないか?
「やっと剥いてくれた……じゃない、向いてくれた。」
言い直さなければそんな些細な言葉のニュアンスなんてわかるはずもないのに。
実際、下着以外は剥いているけど……
今日は悠子ちゃん達の送迎を、俺の代わりにしてくれた事に対する特別報酬という名のデートという事になっている。
悠子ちゃんも言っていたけれど、デートという言葉がかなり重要らしい。
いや本当にいつの間にかそれを了承してしまっている俺自身もどうかしてる。
やっぱりそれなりにゆとりが生まれているって事なんだろうけど。
「流石に外してやろうと思っての事なんだが、まだ付けたままで良いのか?」
きらりんと黒光りしたような気がする茜の貞操帯。自己主張が激しいな。
「それはそれでご褒美な感じするけどね。でも衛生的には外して欲しいかな。」
だからそのために下着以外は剥いていたんだが……
ロ主人様なんて言っていたけれど、今の会話は普通に友人として接している。
プレイのオンオフはしっかりと切り替えていた。
俺はともかく、茜のそのスイッチが何かはわからないけど
ロ主人様なんてこないだのカレンさんみたいな事を連呼するものだから暫く無視していたわけだ。
「あー、ほら。その前にまずはそれの上から洗ってからだな。」
ちなみに今いる場所は103号室の風呂場。
これをデートと言い切る茜の根性は凄い。
別にどこかに行ったわけでも、恋人のように話をしたわけでも、一緒に何かを食べたわけでもないのに。
シャワーノズルを右手に持って、左手で蛇口を捻るとお湯がノズルの先から溢れ出してくる。
左手で触ると既に温かい、直ぐに使っても問題ないだろうと思った。
「じゃ、洗うぞ。」
☆ ☆ ☆
「お前には恥じらいというものがないのか?」
貞操帯を外した後、洗ってというので仕方ないので洗ってやった。
3歳児じゃあるまいしと思ったけど、特別報酬的なものなので仕方なく承諾した。
「あるよ。悠子ちゃんや瑞希さんがいる時にはほぼオフにしてるし。」
お湯のせいか、茜の顔も蒸気して赤みを帯びているのは気のせいか。
もじもじくねくね身体を動かしながら何かを言いたそうにしている。
魔石は持ってないぞ?ボディコニアンはおどっているじゃないぞ。
「ヒーホー!」
心の中を読むなよ。しかも悪魔の種類変わってるし。
高校時代の茜は冗談はともかく積極的に人を笑わせようとする人物ではなかったんだけどな。
「私の身体……綺麗?」
唯一残っていたブラジャーはいつの間にか外されていて、気付けばそこには普段隠されている小さなお山が二つ聳えていた。
「甘食……」
瑞希さんは流石にわからないけれど、俺の周りには大きな持ち主はいない。
いや、瑞希さんも服越しには触れたりしてるから小さいのはわかってるけど。
そういや確認はしてないけど、制服越しに見た感じだと悠子ちゃんの友人3人もみんな小さい。
ってなんの話だよ。
茜は唐突に手ぶら……手ブラで甘食を二つ隠す。
上隠すなら下を隠せよ。
しかしなんだろう。
親戚の子供を風呂に入れてる感覚といえば良いのか。
過度に性的な興奮はしていない。
なんだ?ちらりと見える時はもっと見たいと思うけど、モロに見えるとエロティシズムが薄れるのはなんだろう。
そういえばそっち系のビデオで見た事あるけど、ズボンを穿いているままが殆どだけど調教師のおっさんはプレイ中勃ってないな。
なんとなくそんな感じだろうか。
って綺麗かどうかだっけ。
以前色々付いてた身体の付属品の痕はぱっと見じゃわからないな。
そういう意味では綺麗なんだと思うけど。
「まぁ……綺麗なんじゃないか?」
先程思った事をそのまま口にした。
頭の中で連想していると、その端的な言葉を漏らしている事はある。
今回もその流れはあるけれど……
急に直視するのが恥ずかしくなっていたとは言えない。
「なぜ疑問形?でも……一歩前進?」
「蝋とか鞭とかピアスとかの痕もないし?」
なんだこれ、照れ隠しとでもいうのか。
「もー。そういう事じゃなくて。ふぅ、でもやっぱり……一歩前進?なのかな。多分。」
全裸で照れられるとこっちも照れてくる。
さっきからなぜかおかしい。
ほんの少し前までは親戚の子供を洗ってる程度に捉えていたのに、5分にも満たない時間での心境の変化。
これはきっと、私綺麗?となんとか女の定型句に似た言葉に対して意識してしまったに違いない。
シャワーで上から下まで濡れている身体で茜は、立ち去ろうとした俺の身体を後ろから抱き締めてきた。
そのまま頭を背中に乗せてくる。
「いつか上書きして欲しい。」
そう言った茜の声を俺は聞こえないフリをした。
これ以上は本格的に意識してしまいそうだ。
あれ?しても良いのか?
リハビリにはなるし、茜なら心身共にリハビリ出来るんじゃ?
でもそれだと便利な道具にしか見てないって事に……
茜自身はそれでも良いと最初に言っていたけれど、やっぱりそういう問題じゃないような。
こうして悩んでいるという事は、絶対に色々改善されてきてないか?
3月の頃だったらそんな事考えすらしなかっただろうし。
まぁ今日のこの風呂場の一件でも反応は示さないんだけど。
って濡れた身体や手で後ろから抱き着くものだから俺の服まで濡れた。
ズボンや腕の裾を捲った意味がない。
上書きの意味は……
きっと喜納の事だけじゃないのだろう。
夜の生活で生計を立てていた頃の事なんかも含まれるんじゃないか。
Mを主張しカムフラージュし、口では強がっているけど、本当はかなり繊細なはずだ。
饒舌になった裏には何かまだあるのではと思ってしまう。
例えば、高橋の事が微かにも残っていて、それを消して欲しいと思っているとか。
俺のように相手の裏切りによる別れとは違うのだから、根底の部分から抹消しようとするには簡単にはいかないのかもしれない。
俺の勝手な想像だけど。
改善か……
3人それぞれ色々してくるものだから、嫌でも感化せざるを得ないとはいえ。
半年程度で変われるか……俺も安いな。ちょろいんならぬちょろヒーロー?ちょろロー?ちょろー?
なんか早漏みたいで嫌だな。
先に風呂場から上がって茜が着替えるのを待つ。
暫くすると……
「お前には恥じらいというものがないのか?」
肩にタオルをかけてパンツ一丁ならぬぱんてぃ一丁な茜が出てきた。
タオルのおかげで甘食は上手い事隠れている。
ところでパンティやショーツは一丁で良いのか?一枚?まぁいいか。
「昭和のおっさんか!」
「これで左手を腰に当ててコーヒー牛乳を一気飲みしたらそうかもね。」
そんな時、俺はふと思い出した。
凄惨な事件が近所で2件発生、悠子ちゃん達の送迎、茜との特別報酬で抜け落ちていた。
最初の事件の後にも、その後にも瑞希さんの姿を見ていない。
電話をしても留守電を残してもメッセージを送っても、応答も返信もない。
あの真面目な瑞希さんが何日も放置するとは思えない。
「最近瑞希さんと連絡がつかないんだけど、何か知らないか?」
俺は少し前に悠子ちゃんに尋ねた。
そして今茜にも聞いてみたけれど、茜も連絡がつかないと答えた。
――――――――――――――――――――――――――――
後書きです。
さて、どうしちゃってんでしょうね。
茜となんかいい雰囲気になりそうだったのに。
据え膳喰わぬ状況に近いのに勿体ない。
ロ主人様流行りませんかね。
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