第145話 健全なマッサージ……だよもん
※今話は真秋の心の中が中心となります。
「あぁっ……んんっ……」
「ふっ……はぁっ……」
「す、すごぉぃ。かっちかちです。」
「んんっ、こ、これ以上はム、むりぃぃッ。」
皆さん、お分かりだろうか。
これは俺の喘ぎ声……というわけじゃぁないんだぜ。M男じゃないしな。
ともえから始まり色々グレー損……もとい、グレーゾーンを含めて経験はしてきているつもりだけれど。
これらの声はみんな瑞希さんのものだ。
不思議に思っただろうけれど、瑞希さんは先程うつ伏せの俺に跨った。
跨って何をすると言ったか覚えているかい?俺は覚えている。
マッサージをする。と言いましたね?もう一度言います。マッサージと。
茜じゃあるまいしえっちなマッサージではない。あくまで健全。健全中の健全な指圧マッサージだ。
じゃぁそれなのになんでそんな際どい声を発するのか。
全ては俺の身体が若い頃と違って凝り固まっていた事が悪い。昨年の不摂生と心労等で想像以上に身体にもガタがきていた事。
でもそれだけで声が出る程の、それも指圧する側が声を漏らすのか?という問題はある。
その答えはもうじき出逢える。
今は敢えてこの現状を受け入れよう。
「ハァッ、はぁっ、んふぅっ。んっ、んんっーーっ。」
「だ、だめぇ。あ……ら、らめぇっ~~~ッ」
しかも今言い直しましたよね?
そしてなぜ俺の心の中の声が敬語なのか。
それは人は例え心の中でも異性に対して言い訳をする時は、古今東西敬語と決まっているからである。
☆ ☆ ☆
「あ、あの。重くないですか?」
うつ伏せになった俺に跨り、マウントを取った瑞希さんは唐突に訪ねてきた。
「お、重くないよ?寧ろ背徳感でいっぱい。おっぱい胸おっぱお、いや、胸いっぱい。」
決して誤字ではない。隠語じゃないけとたまにおっぱお表記する事あると思うんだ。
なぜそんな言い訳をしているかと言うと、少し後ろに目線をやったら……
跨ったせいだろうか、バスローブが開けかけていて明らかに肌面積が増えていた。
「あ……」
「あ……」
瑞希さんは目線を下に落とすとその様に気付き。
「えっちです。真秋さんえっちです。淫溢~淫溢~。」
そんな
さくっちは淫溢みたいな……
どっちもえっちな事を指す言葉じゃないですかと。
でも考えてみて欲しい。バスローブ程重量のある衣装が、引っかかる部分がほとんどなければそれはどうなるか。
本来であればまともに見えてしまってもおかしくはないので、ラッキースケベ神はさらなる上の神によって仕事が出来なかったようだ。
寧ろ規制の神がぎりぎりで仕事をしたのだと思う。
「その……大事な部分(先端とかの意)は隠れてますから……」
そういう問題ではないのだけれど、思わず言い訳をしてしまうのは男子であれば仕方ない。仕方ないよな?うん。
「もう、真秋さんは黙ってマッサージを受けてください。」
そう言ってバスローブを直すと瑞希さんはマッサージを開始した。
そして今に至る……と。
☆ ☆ ☆
「真秋さん……もの凄く硬い。かっちかちやでというくらいに硬いです。」
「真秋さん、これ以上はもうらめぇ……」
その言葉を皮切りに1秒もしないうちに俺の背中に錘を感じる事になった。
瑞希さんがうつ伏せの俺に折り重なるようにもたれ掛かってきた。
「すぅ……」
そしてあろうことか寝息を立てている。
あのカラオケの再現に近い。
あの時は仰向けの俺にうつ伏せで重なってきた瑞希さんだったけれど。
今日は二人してうつ伏せだ。ある意味この状態の方が身動きが取れない分大変かもしれない。
つまり、俺の背中に今おっぱおが当たってるんだなぁこれが。
俺は浴衣着用なのでバスローブよりは確実にその感覚が敏感になってるんだよ。
そしてこれでおわかりいただけただろうか。
あの瑞希さんがいくら試合観戦で疲れていたとしてもこんな無防備な状態で眠ってしまうだろうか。
そんな事はないはずだ。健全と清楚が服を着て歩いているような人である瑞希さんのイメージからすれば今の状態は素面ではありえない。
それはつまりは、瑞希さんは僅かではあるが飲酒をしていたという事になる。
俺が視線をどうにか横に移すと……
「あ……」
瑞希さんの寝顔が……
そして少しお酒の匂いが。
瑞希さんの顔で隠れてしまったけれど、その先にあるのはテーブルの上に置かれたジュースみたいなお……が。
恐らくジュースだと思って開けてしまい、それを口にしてしまった瑞希さんは酔った勢いでタガが外れてしまい
そしてほろ酔い状態のため普段より力が出ない、かつ俺の身体が硬いために指圧の度に力を込める事となり、都度えっちっぽい言葉が出てしまったというわけだ。
「んんっ。」
ほろ酔い状態からのお眠りなので余計に漏れる声が妖艶に聞こえてしまう。
一応俺も男だ。不能状態であるとはいえ男だ。
下半身は反応しなくても一応健全な男子だ。
全くえっちな心がないわけではない。
裸を見れば脳は興奮するし、本当は可愛い人や美しい人に迫られて嫌なはずがない。
言い訳を続けるなら、偶然見てしまった悠子ちゃんの全裸からぱんつを穿く姿や、椅子になって喜んでいた茜や、カラオケや今の瑞希さんにだって高揚しているし興奮だってしているのだ。
聖人君子だってえっちな事はするだろう?多分。
そうでないと子孫は残らないからね。
性に対して嫌悪を抱く人でなければそうだと思う。
起きて、おっきしてくれ。
あ、これは別に下半身に対して言っているわけではなく。
重なって眠ってしまっている瑞希さんに対して思っているわけで……
本当に瑞希さんお酒に弱すぎでしょ。
あの結果的に合コンだった飲み会、よく参加しようなんて思ったよな。
弱い自覚がないわけではないと信じたい。
わかるか?さっき視線をテーブル上にあるお酒に移そうと首を横に向けてしまったために、至近距離に眠っている瑞希さんの顔があるんだぜ。
ぶっちゃけ吐息が微かにかかってるんだぜ。
という事は自分の呼吸だってかかってるだろうし、起きていたら聞こえているんだぜ。
色々毒だ……いや薬なのか?もうわけわからんけど、このままだと理性が……
心の中の天使と悪魔は言い争うことなく性感……静観している。
まるで
瑞希さんの寝顔を注視しながら思い返す。
浴衣に着替えてから寝るって言ったのに。
着替えを見たかったとかそう言っているわけではない。
せっかくだからホテル備え付けのものとはいえ、浴衣も見てみたいだけなんだ。
あれ?見てみたいというのは何だろう。心境の変化?
ここ数日、あの脱衣場で悠子ちゃんの着替えを見てしまってから少しおかしい。
「んっ。ぁ……」
瑞希さんの目が開いた。そしてぱちくりぱちくりと二度三度と瞼を開閉する。
現状を確かめていたのだろうね。俺は黙ってその様子を見ていた。
「ひゃっ、らめぇ。見ちゃらめぇ。」
らめぇと言ってる当たり、しっかりと意識は覚醒していると思われる。
そんな言葉、現実では口にする事はまずない。一度くらいならばともかく、こんな多用する言葉ではない。
羞恥から出る誤魔化しと受け取るのが自然だと思う。
瑞希さんは慌てて身体を起こし、俺がその姿を見るよりも早く動いた。
多分、バスローブを直したのだろう。
起き上がる時にバスローブの先が見えていた。
という事は、もしそっちを意識して見ていたら御開帳していたのがわかったはずだ。
やはりラッキースケベ神は謹慎中らしい。
自制神や規制神の仕事結果としか思えない。
日暮里にある全面鏡張りのホテルだったら先程の状態を客観的に見る事が出来ただろう。
あの時俺達がどのような恰好になっていたのかを。
恐らくほぼほぼ生の……が浴衣1枚越しに当てられていたという事だろうから。
「お酒の力を借りたとはいえ、克服出来た……のかな。二度目だし。」
瑞希さんのその言葉の真意は分からないけど、どうやら先程のマッサージは瑞希さんの純然たる意思だったようだ。
「後は茜さんの力……かな。」
―――――――――――――――――――――――――
後書きです。
マッサージってどうしてえっちな方向に持って行きやすいんでしょうかね。
マッサージ神「……それはテコ入れ神の仕業だ。」
この世界は八百万の神によって形成されております。
こういう神が居ても良いのです。
それにしてもなぜマッサージで1話使った……
テコ入れ神「さらなる大いなる神の仕業じゃ。全容は明かせん。」
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