第133話 ラッキースケベ神とトラブル神
その後風呂から出ると悠子ちゃんはねこみみパーカーにくるまって転寝をしていた。
随分と気持ちよさそうに寝ている姿を見ると、微笑ましく感じてくる。
そしてふとした拍子にさっきの脱衣場での姿と重ねてしまう。
ぱいぱ……
って俺は今何を口に出そうとした?
山口さんの勉君じゃないけどこの頃少し変よ、どうしたのかな。
意識……し始めているのか。
でも……それでも俺のココは大人しいままだという事を、喜んで良いのか悲しんで良いのか答えは出なかった。
☆ ☆ ☆
一方その頃……
「はっ、何か私の十八番が取られたような気がするっ」
茜は田宮未美の横で背筋正しく立っていながら、その立ち姿からは想像出来ない感覚と妄想に取りつかれていた。
「何?貴女まだナニもしてなかったの?自分の武器を使いなさいよ。」
と、発破をかけられてしまう始末。
そしてもう一方その頃……
「っ。また私だけ置いて行かれたようなような気がっ!?」
女性陣には女性陣にしかない妙なセンサーが働き、悠子が全裸を見られるイベントを妙に鋭い感覚で受信していた。
患者に注射を刺している最中でなくて幸いだったが、一瞬動きを止めた瑞希を同僚は不思議がって見ていた。
「例の男性絡みかしらね。」
同僚には筒抜けであった。彼女は真秋が救急車で運ばれてきた時に、瑞希が付き添いで泊まると言った時の看護師であった。
それはもう派手に筒抜けである。
☆ ☆ ☆
「~~~」
俺は今、カラオケにきている。
先日の悠子ちゃんの件、女性陣だけで連絡を取ったのか自ら話してしまったらしい。
悠子ちゃんの中で、抜け駆けになってしまうからとか言っていたけれど。
全裸を見られたことをわざわざ言う必要があるだろうか。
いや、正確にどのように話したのかまではわからないけれど。
流石に全裸までは言ってないと思いたい。風呂上りを見られたとかその程度であると思いたい。
そしてどこまで話したかまではわからないけど、イベントがないのは不公平だとなったようで……
じゃあ私達にもイベントスチルをくださいとなったようで。
小澤と月見里さんとも小イベントをすることになった。
その一端として、まずは月見里さんとカラオケに。
月見里さん結構アクティブなのね。
そしてこのカラオケはただのカラオケじゃない、月見里さん……コスプレカラオケをしているんだよ。
今日は3時間だけれど、俺と月見里さんの二人でコスプレカラオケデーらしい。
端から見ればデートと呼ぶのだろうけど。
ちなみにみっくみくにしてやられてます。
瑞希だから「み」で始まるし丁度良いとか。
「黄葉さん上手ですね。女性声出せるなんてすごいです。ファルセットきかせまくりです。」
「言う機会がなかったから言った事がないけどこれでもサン〇ラーなんで。同人時代からのファンでした。」
「あ、じゃぁブラックロリコンなんて替え歌しちゃうんですね。」
知らない人には通じないけれど、一部マニアの間では有名な話である。
「こちら開店1周年記念サービスです。」
グラスに注がれたしゅわしゅわ(ビールではない)が二つ、運ばれてきた。
「せっかくだしかんぱーい。」
チンッとグラスを当ててから一口。どこかの本場ではグラスは当てないと聞いたことがある。
日本独自の文化らしい。
「あ、これアルコール入ってる……」
流石の俺もこれ一杯だったら大丈夫だとは思うけど。
それから数曲歌いあい、気が付くとしゅわしゅわはどちらも空になっていた。
「あのー、私の事はどう思ってるんれしゅか?やっぱり悠子ちゃんみたいに若い子が良いれすか?茜ちゃんみたいにえっちな子が良いんれすか?」
月見里さんの顔は真っ赤になっていた。言葉も一部ろれつが回っていない。
あのしゅわしゅわ一杯でここまで酔っぱらうなんて……あの飲み会良く平気だったな……と思ったけれど、あの時まだ飲む前だったね。
その前に俺が倒れちゃったもんね。
あれ?もしかして月見里さん、俺より酒弱い?
そしてこれは絡み酒?かな。
「ねぇ真秋さん?ろーなんれすか?」
月見里さんが絡んでくる。唇を尖らせて……
その仕草に可愛いと思っていたけれど、それを口に出せないくらいには圧迫されていた。
圧が凄い。今まであまり自分をぐいぐい出していなかっただけに少し気圧されてしまいそうだ。
「どうって……」
「あい。一人の異性としてどうかお答えくらはい。」
目がとろんとして今にも眠ってしまいそうな月見里さん。首がこっくりこっくりときている。
「か、可愛いし優しいし、それに安心……」
言葉の途中でビクッとした月見里さんが、躓き倒れそうになったので手を差し伸べた。
悠子ちゃんの時にはラッキースケベ神が仕事をしたけど、月見里さんの時にはトラブル神がお仕事をなさったようだ。
手を差し伸べたは良いけど、そのまま引っ張られ俺と月見里さんは椅子から転げ落ちる。
救いは俺が下側だった事。
一瞬の事でどうやって動いたかはわからない。月見里さんが頭を打たないようにとか身体を打たないようにとか、とにかく月見里さんが怪我をしないように動いた事だけは確かだ。
気が付けば俺は床に背を付けており、月見里さんの身体を抱き止め、俺の右頬と月見里さんの右頬が触れ合っていた。
―――――――――――――――――――――――――――――
後書きです。
これはトラブル神も仕事したけどラッキースケベ神も少し仕事してますね。
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