第114話 コスプレ写真と乙女のポリシー

 結局それからコスプレ写真発表会が始まった。

 殆どの写真は一眼レフで撮影しているとの事だったけれど、スマホでも撮影している分を見せてくれる事になった。


 ボ〇ロ、プリ〇ュアシリーズ、薔薇〇女、東〇、こ〇パ、みず〇ろ等女の子キャラは可愛く。

 某二人で一人なライダーやテニ〇リ等男性キャラの妹ズはかっこよかった。


 「すげぇ、可愛いしカッコイイ。そして妹二人も凄いけど月見里さんのクオリティが半端ない。」

 それは衣装やウィッグや小物もそうなのだけれど、ポーズや表情一つとっても妹二人をとっても少しレベルが上だった。


 「月見里さん、そこそこのヲタクじゃないじゃん、半端なく愛の深いヲタクじゃん、もちろん良い意味で。」


 「ああぁあ、あありがとうございます?」

 すっと漏れ出した俺の言葉に照れてしまったのか、少し言葉にどもってしまう月見里さんもまた可愛いと思ってしまった。

 その様子を見てにやにやにたにたとする悠子ちゃんを見てしまう。


 「悔しいけど瑞希さんのキャラに対する愛は一つ二つ上なんだよね。」

 


 「あー、そそそれはダメです。」

 某〇〇ウィッチーズの写真に入ると月見里さんが慌て始めた。

 確かに……下半身部分だけスク水みたいなのだ。

 通常こういう際どい衣装を着る時は殆どの人が肌色タイツを穿いたりするものらしいけど。

 原作に忠実にしたいのだとは思うけど、未タイツなのである。

 お尻のぷっくらラインとか……


 慌てた月見里さんは、スマホに手をかざして見えなくするのではなく。

 俺の目に自分の手を重ねて見えないようにしてしまった。


 「あ、あの。見えないんですが。そして柔らかい。(掌の感触が)」


 「だだ、だって流石にあれらは恥ずかしすぎます。」

 柔らかいに関してはスルーされたようだ。言及されても困るけど。


 「あ、もう大丈夫ですよ。際どいところのは飛ばしましたので。」

 

☆ ☆ ☆



 その後気を取り直して鑑賞会は再開された。


 「キャラに対する愛が深いのは理解出来た。悠子ちゃんや深雪も凄い可愛いしかっこよかったけどね。」


 「あ、うん、ありがと。」

 悠子ちゃんがおしとやかにちょこんとした姿勢で照れて赤くなっている。

 本当に今この瞬間、俺も悠子ちゃんも抱えた闇の部分が晴れているようだった。


 続いて月見里さんのスマホに移り鑑賞が進んでいく。

 月見里さんは悠子ちゃん以上に一眼レフで撮影しているようでスマホにはあまり撮ってないという。


 大体悠子ちゃんと同じ時に撮影したものが殆どで……


 「あ……」

 時既に遅し。

 同じボ〇ロでも姉さんの写真の時にそれは見えた。

 

 「あ、だめ。これもだめです。」

 慌てて戻ったけれど、見えてしまった。自分で操作してのガン見ではないけれど、可愛いへそを出している月見里さんの写真を。


 「だ、大丈夫ですよ。一瞬だったし?それに可愛かったし綺麗でしたよ?」

 そういう問題でもないのだろうけど、思わず口に出してしまっていた。



 「私だけ羞恥プレーな気がします。」


 妹ズは確かに際どい衣装はあまり着ていない。せいぜいプリ〇ュアくらいだ。

 「社会人と学生の差ですかね。」

 なんて悠子ちゃんは言う。


 「学生でも色々チャレンジしてますよ。」



 際どい写真が出る度に「だめー」となって早送りされたりはするけれど。

 どれも一瞬は見えてしまっている。

 はっきり言えば俺得な写真鑑賞でしかない。


 悠子ちゃんにしても深雪と一緒にコスプレしているのは知っていたけれど、ここまで凄いとは思ってもいなかった。

 だからこそ、ともえを追い詰める事で安堂家をこのような状態にして、しわ寄せが悠子ちゃんに行ってしまった事に後悔がないわけではない。

 

 「え?」

 悠子ちゃんが驚き一瞬声をあげた。

 スライドされ送られていった写真は先程の際どい写真よりも早くバックされたので一瞬しか見れていないけど。


 あれは……先日の病院での写真?

 見間違いでなければ病院のベッドで寝ている俺の写真だったように見えた。


 「あ、少しお花摘みに行ってきます。」

 月見里さんは徐に席を立ちトイレの方へと行ってしまった。


 数秒後……悠子ちゃんも立ち上がった。

 「わ、私も……」


 この店のトイレは少し広い。女子側は行った事ないけれど、ファミレスみたいな感じとなっている。

 小さな居酒屋のように性別で一つしかないという事はない。

 だから二人が同時に利用する事は可能である。


 それから10分程が経過していた。

 その間に届いた紅茶は既に2杯目も半分となっていた。


 二人が席を立ってから15分。

 二人一緒に戻って来る。

 特に何か変わった様子はなかったけれど二人共若干顔が赤かった。


 鈍感系ラノベ主人公であれば、何と戦ってたんだとか、化粧直しが長かったとか考えるのだろうけど。

 直感で二人は何かを話していたのだろうと思った。


 「今日からは、親友と書いて、戦友と書いて、ライバルと読みます。」

 悠子ちゃんが何かと戦っているかのように決意表明のようなものを宣言していた。

 「私もです。負けません、敗北を認めるまでは。諦めたらそこで恋愛試合終了ですから。」

 月見里さんも何かと戦っているようだった。


 店内では空気を読んでか読まないでなのか、「恋〇CHU!」が流れていた。

 カウンター奥にちらりと見えたカレンさんがダブルピースをして微笑んでいるのが見えた。


 その次に流れたのは「乙女の〇リシー」だった。

 〇〇ウィッチーズの写真と歌ってる人繋がりか。

――――――――――――――――――――――――――――

 後書きです。


 あと1話程でねこみみメイド喫茶は終了します。

 厠で女子二人が何をしていたかは多分想像出来ていると思います。


 拳と拳握り合って……なGなガンダムみたいな事ではありません。


 ただ……茜の出番が……

 「私の情報連絡網は53万です……当然筒抜けです。」

 とかあの方なら言ってそう。

 

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