第108話 月見里瑞希にも煩悩はある。

 あれから何日も経過している。

 日々職場である病院と一人暮らしをしているアパートとの往復の毎日。

 たまにスーパーに買い物に行くくらい。

 他の同年代女子のように化粧や衣服の買い物は滅多にしない。

 季節ごとにしま〇らに行く程度。

 23で枯れてるなんて思われているかも知れない。


 海やプール、雪山や温泉なんてのはとんと縁がない。

 日帰り温泉はたまにするけど。 

 同じ職場でもそういった事にはピンからキリまでいるけど、私は無頓着に近い。

 

 それが偶然この前学生時代の友人から合コンの誘いを受けた。

 最初から合コンと聞かされてはいなかったので騙された形になるけれど。

 其処で出会ったあの人は、かつて高校時代にドキがムネムネした人。

 あぁこのネタは一度前に使いましたね。


 最初の出会いは一方的なものだし、二度目の出会いも一方的なものだった。

 何せあちらからは会ったという認識がない出会いなのだから。

 

 三度目の出会いは香里が誘った合コン。

 少し再燃してきたのを感じる。

 話を聞いて現在はフリーだというのがわかっている。


 その変わり女性に対して苦手意識というか恐怖というか、そういった負の感情を抱いている事がわかった。


 生来の性格か、職業病か……再燃しかけた感情のせいか。

 放っておけない、かつて見た時のように誠実に爽やかに生き生きして欲しいと感じてしまった。


 まさか看病とかっこつけて病室に泊まるなんて。


 そのままお礼にご飯でもと、ねこみみメイド喫茶に行く事になるなんて。


 それにしても……私、そこそこのヲタクではありますが、まさかあそこでオムライスのネタで中の人(声優)繋がりで来るとは思いませんでした。

 その要望に考える素振りもなく描けるカレンさんも凄いのですが。


 お互いにそこそこのヲタクである事がわかったのは収穫です。


 この職業をしているせいか、見られるという事は嫌でもあります。

 その影響もあってか最近ではコスプレイベントに一人で行っていたりするくらいには沼にはまってます。


 人が多い大きなイベントは無理ですが、地元の小さなイベントに何度か参加している。


 最近少し仲良くなった二人組の女の子がいます。

 聞けば高校生と中学生だというじゃないですか。


 しかし先日会った時は少し沈んでいるように見えました。

 これはあの再会よりも前の事だからもう一月くらい前でしょうかね。


 込み入った事ですし、事情は聞けなかったけれど。

 

 彼女達となぜ仲良くなったのかがわかった気がします。

 もちろん若いのにクオリティが高いなというのも一つの理由だけど。


 似てたんだ、あの時あの人と一緒に病院に来た女の人に。

 だから無意識に目で追うようになって、気が付けば一緒に写真を撮るくらいに仲良くなってた。


 世間は狭いとは良く言ったものだと思った。

 8月に入ってついにあの人が病院にきてくれた。


 こちらは仕事だというのに何故か少し晴れやかな気分になっている。

 あれからお礼の連絡メールは来るけれど、それ以上の事がなかったので少しもやもやしていたところもあったので。


 「黄葉さん、黄葉真秋さん。第一診察室へお入りください。」

 

 呼ばれて立ち上がったあの人の横には……


――――――――――――――――――――――――――――

 後書きです。

 

 真秋、ついに病院行くってよ。

 前回のラストにあんな登場があったのに茜はおあずけ。

 放置プレーではぁはぁしているわけでは……


 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る