第45話 諸刃の剣もごり押せばただの刃
「で、私関係ありませんって表情のともえ。」
ビクッと肩を震わせ、顔の表情は凝り固まり、顔そのものはパンダかキョンシーかわからないくらい怖くなっている。
トラウマになりそうだ。別の意味ではもうなってるけど。
「それで托卵を企んだともえさん。俺にはその子供を養う義務もなければ、お前と結婚しなければならない義務もない。」
「抑籍はまだ入れてないからな。ちなみに、これが弁護士先生に仮算出してもらったものだが……もし俺がお前を訴えたとしたら、これだけの慰謝料になるんだってさ。」
目を見開いて、ぎょろっとするともえ。カメレオンかよ。
「そそ、そんな無理無理無理ぃ。」
無駄無駄と勘違いしそうな字面だな。
そこにはこの辺に建売一軒家が建ちそうな金額が書かれていた。
そこで自虐にもなってしまうが、さらなる爆弾を投下する。
今日だけで何個の爆弾が投下されているのだろうか。
「あのね、これ勃起不全第二弾の診断書。お前らの托卵から慰謝料云々踏んだくる計画を知った時から、また発症しちゃったみたいなんだよ。いらないプレゼントだよね。」
「今の俺はエロい絵や写真・動画を見ても勃たないの。医者が言うには、托卵云々を知ったショックとかが因果関係高いってさ。色々検査するのも恥ずかしかったんだからねっ。」
恥ずかしい診断書は再びスクリーンにでかでかと表示される。だからなぜ俺がダメージを受けなければならないのだ。
「うおっほん。さっきの慰謝料の中にはこれの事も入ってるから。本当は通院費も乗せたいくらいだけどな。」
「俺、お前のせいで男としての機能まで失ってしまったんだけど……どう責任取る心算?俺の人生壊しておいてどういう心算?」
俺の魂の叫びだ、23にして二度も勃起不全になる人他にいないだろ?
「俺の家族も、引いては黄葉一族の血が絶えたらどうするの?責任取れるの?」
「ともえ、お前の家族に対してもそうだ。お前のせいで家族は陰口を叩かれるんだぞ?JKの悠子ちゃんが学校で苛められたらどうするの?責任取れるの?」
「うぅぅ、えぐっ。うわぁぁぁ、そんなにいじわるいわないでよぉぉぉ」
この人今、いじわると言いましたか?それ以上の酷い事をされているこの俺を差し置いて?
会場の皆様も、ないわーって顔してますよ?
「托卵して、人に難癖つけてこっちが悪い事にして慰謝料と養育費をせしめようとしていた貴女が言いますか?ついでに抑それって結婚詐欺も追加されませんかね?」
「大体泣きたいのはこっちだ。23年間もの想い出も全て色褪せてしまってるよ。楽しかった思い出が苦しいものに変わってるんだよ。」
「そういうのって他人にはわからないんだ。楽しかった日々は何物にも変えられないなんちゃらとか裁判所は言うだろうけれど。」
「その楽しかった日々が反転しておぞましいものに変わるんだ。これは経験した者にしか分からない。」
「法律家や勝手な意見を言う奴らは……色々な意見を聞いているのかも知れないけど、所詮は他人事。対岸の火事なんだよ。」
「だから平気で残酷な事を言える。俺は裁判などでお前達を裁いたりするつもりはない。お前達はこうして色々な人に暴露されて、この先どうやって生きて行くんでしょうね。」
「一生後ろ指刺されて生きて行くんだ。その子供も可哀想だな、親がどっちもクズなばっかりに後ろ指刺されて生きるんだ。」
まくし立てて次から次へと突き立てられてともえの脳は追いついていない。
何を言われているのか途中から「?」になっているように見えた。
バカもここまでくると救いようもない。
「ここでさっきの質問に戻るが、お前はどっちだ?俺か、喜納か。どっちが大事なんだ?」
俺が大事だったら托卵なんてしないはずだけどな。
実際今も悩んでいるのだろう。
どっちも大事だとか思ってるんだろうな。
そして最終的には子供を取るだろう。俺は自分の子供でもない奴を育てる気はないと公言している。
その時点で俺は選ばれない事は明白だ。
一方喜納は恐らく産んでくれと過去に言っているはずだ。
この質問はある意味出来レース。どれだけ悩んだフリをしてみせたところで、ともえが俺を選ぶ事はありえない。
だからこそ、トドメの一言を発する。
「どうしてこれまで積み上げてきた23年間をあっさり捨てたの?」
何一つまともに答えてくれないともえに次の爆弾を投下した。
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後書きです。
バレンタイン映像流します。ゲスです。
そしてあのお方……じゃないあの子がその後登場します。そうしたら修羅場ですかね。
流石に文字数的に次の次になるかもしれませんが。
暴露もそろそろネタが尽きる頃。
何かが起こる。
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