第1002話 ガーライト海賊事情

「おう、久しぶりだな」

「は、ご無沙汰しております」

王城に連絡をつけると国王アルミーノ・ドルフィオ・ガーライト自身が謁見するとなった。


「お前達、子供はまだなのか?産まれたら俺の子供や孫と結婚させるのに」

「まだです!」

「そうか?どの王族達も狙っていると思うのだがな」

「それより本題をよろしいですか?」

「あぁ、海賊だったな。確かに西のアルメルス神国側への私掠船はやめたが、反対側の東や南とは敵対しているから私掠船は続けている。これは前にも言ったよな。だから、うちの海軍、私掠船の可能性がある海賊を退治して貰いたくない」

「ガーライト王国の通行許可証を持っているのに海賊行為をしてきた相手を退治するのは良いですか?」

「あぁ、そのルールを逸脱する奴は見せしめが必要だろう。ただ、お前達の力ならばいっそ隣国ガリバイ王国などの海軍をやっつけてくれると俺としても助かるのだがな」

「国家間戦争の片方に介入したくはありませんので」

「そう言うとは思ったよ。ルール違反の海賊退治は許可する。書類を持って行け」


王城で許可証を貰ったものの、ガーライト王国東部で商業船を持っていないサラ達。東部の港町に行ってみるが、そこの冒険者ギルドでも護衛の依頼は来ていないという。

「困ったな。あれだけ船もあるから、誰か売ってくれないかな」

「売ってくれても私たちは操船できないわよ」

「いや、ミリアーノたち、元々アルテーラ王国海軍の奴らに頼めば良いだろう?」


港を見て話していたサラとハリー達に声をかけてくる男が。

「お兄さん達、ガリバイ王国に行きたいのですか?最近は西のアルメルス神国側や北のユノワ大陸への通商が増えて、交戦状態の東側へは滅多に船が出ませんよ」

「おじさんは?」

「私?その数少ない隙間の利益を狙うしがない商人ですよ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る