第980話 不死魔物氾濫悪化2

「で、死亡者は無で良いのね?」

「はい。魔法回復薬や回復魔法のおかげで、ドラセム家での被害は全て回復済みです」

「良かった・・・領軍はいったん山側の拠点に引き上げさせて。村への配置は失敗だったわ。ごめんなさいね」

夜が開けたところで自軍の被害確認をした上で、作戦失敗であったと反省する。


しかし帝国軍の被害はもっと酷かった。

街の城門は何とか耐えたか、破られても侵入した魔物を包囲して倒したことで街内への直接被害は抑えられたが、城壁から落下した者、城門付近で大型アンデッドにやられた者など死者も出ている。さらに村へ配備されていた帝国軍にも死者が発生していた。

ドラセム侯爵家の被害確認後、サラ達はそれぞれの拠点で怪我人に対する治療行為を行った上で軍議に参加する。


「レッサーヴァンパイアのダンジョンを踏破したことで、敵も本気を出して来たということか」

「そうかもしれないですね。アンデッドの先頭をかなり叩いたのでその後続部隊であった、というようにたまたまの可能性もありますが。このままでは街の防衛もいつまで持つか・・・今夜には破られる門も増えるかと」

「ドラセム卿・・・」

「はい、昨夜も街道もどきの空き地で確認できた魔物の進行方向から、発生源をさらに森の北西に絞り込むことができましたが、これを何度も繰り返しているだけでは、そのうちに被害が大きくなると思われます」

「やはりもっと森を焼き払う覚悟が必要ということか」

「はい、将来よりも目の前の安全が優先かと。もしくは他国からを含めてもっと軍勢を」

「いや後者は帝国軍人の誇りが許さぬ。もしそれで一時凌ぎが出来ても帝国が持たぬ」

「ホルストフ様、そう言える時期はもう過ぎたのではないですか!?」

「穏健派の文官では先が読めぬだけだ!」

皇帝派と皇弟派それぞれの幹部が建設的では無いけなし合いをはじめてしまう。

「もう良い。他国への支援依頼は保留する。ドラセム卿、今さらであるが森の保全を低優先とすることで何とかならないでしょうか」

「以前よりは限定できてきた、発生源付近と思われる範囲で木々を無くさせて貰います」

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