第964話 不死魔物来襲

事前に聞いていたように夜になったところで、スケルトンやゾンビがゾロゾロと街の城壁の周りと取り囲んできた。

ごく稀に混ざっているスケルトンアーチャーから放たれる矢にさえ気をつけていれば、城壁の上にいる限り安全であった。また城門は頑丈でも木製ではあるので、攻撃を受けると少しずつ傷みが出てくる程度の被害であり、街が耐え凌げていたことを改めて確認できた。


ドラセム家の従士団であった面々は、元の守備隊や応援軍の弓矢と共に城門の上からの攻撃魔法でスケルトンやゾンビを倒して行く。≪飛翔≫ができるものは味方の攻撃が届かない場所まで行き、木々の隙間から見え隠れしているアンデッドを倒していく。

ドラゴンやワイバーン部隊はいらぬ騒動の原因となり得たので今回は参加していないため殲滅力は限られており、夜明けになりアンデッドが引いて行くまで戦い続けても、魔物を減らした実感が湧かないほど後続部隊が次々とやって来ていた。

3つの街いずれも同様であったようである。


「なんか頑張った感じがしない一晩だったよな」

仮休憩を取って集まった際のハリーの発言である。

「気持ちとしてはそうですが、街周りの魔物の残骸から魔石を回収した守備隊が、前日までの数との違いに驚いていましたよ」


「じゃあ、村の調査を手分けしようか」

サラの、やっと行けるという思いの言葉に気持ちを切り替えて、森に17あるという村々の地図を目の前に役割分担を行う。

「アンデッドが到達している街とそうでない街を踏まえると、この辺りは絶望的かと。この辺りはまだ希望が。この辺りは被害も無いかと」

「希望があるところを優先して調査、怪我人がいれば治療を最優先。特に被害がない村では村人との交渉は帝国からの“目付け”にお願いして。じゃあ出発!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る