第963話 帝国軍運搬
帝都から将兵と食糧等を5つの街に≪転移≫させる際、皇弟派の領地に帝国軍を送り込むため起きるであろう騒動を回避するため、まずは今回のことへの対処を含めた会話をさせる文官と、各街に送り込む将兵の隊長のみを≪転移≫させる。
3つの街ではアンデッド軍の脅威に困っていたようで、素直に感謝されすぐに受け入れられたため、その旨を城門に上がった使者から聞いたサラ達が城門前に次々と将兵や食糧などを≪転移≫させ、城門内に運び込まれていく。
ただ残りの2つの街はまだアンデッドが到達していないのと、片方は今回の騒動の伯爵領の領都であり、その伯爵が皇帝の支援を受けることを良しとしなかったのである。領軍も居るので守り切る自信があると言うのである。
帝都の判断は、その2つに送る予定であった将兵や食糧は残り3つの街に分散させることで、その近隣の村々への支援、可能であれば街に逃げ込む手伝いをさせることにする、というものであった。
帝国軍を送り込んだ後は、サラ達も以前からの領軍ではない元々のドラセム家従士団を3つの街に分散して夜に備える。
「まず街を守り切ってから村を対処する、というのは分かるのだけど・・・」
「サラ様のご懸念もわかりますが、街より森の中心地側の村々のほとんどは既に・・・」
「それは分かっているのだけど。手の届く範囲は助けたいなと」
「まずどのような魔物がどのように襲撃して来るのか直に把握しないと対処も難しいので」
「うん、そうね。今夜を乗り切ったら、この森にある全ての村の状況を手分けして確認しようね」
「はい、中心地の把握のためにも重要ですし。村の所在地だけは各街の代官たちから入手できましたので」
夜まで待機する間に、逃げ込んでいる村人達の治療を回復魔法や回復薬で行っておく。サラ達が街中で行動する際には“目付け”という名目の事務官が付いて来ているため、面倒な騒動も発生させずに夜を迎える。
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