第945話 スラム街再開発
サラは時間ができると領都か5つの街のスラム街へ出向いて、炊き出しや治療を行い、子供を孤児院へ、怪我や病気でリタイアしていた大人たちを社会復帰へ、働き口が無かった者たちは孤児院運営や領軍の馬の世話係などを紹介する等、スラム街の再開発に注力していた。
そうなると、何らかの理由があってスラム街に居た者たちのうち、仕方なくという理由の者は減っていき、裏社会など自らスラム街に潜んだ者たちだけが取り残されて行く。
素直に裏家業を廃業すればまだ良いが、先日の子供にナイフを突き立てようとした者のように自暴自棄になって、再開発の立ち退き交渉にあたった者へ攻撃をしてしまう者も居る。当然に反撃を受けて捕まるのであるが、そういう者は領主館に送られることになった。
そういう者への≪支配≫により芋づる式に裏社会のメンバ情報を入手し、明らかな犯罪者集団の場合には乗り込んで殲滅し、犯罪奴隷にしてトリストフの配下、裏部隊に組み込んで行く。それなりに仁義を持った行動をしている集団の場合、一般街区に拠点を用意して移設させた上で、諜報活動など裏業務を発注する相手にしていった。
それにより明らかな貧民街、スラム街が無くなっていき、領都や街の治安が目に見えるように向上していく。一般街も含めた住民台帳整備が進み、素性の怪しい者が紛れ込みにくい土壌が整備されていく。
乱暴な冒険者たちが紛れ込んできても、サラの近衛があちこちの冒険者ギルドに頻繁に出入りしているため、少々の腕自慢程度ではたしなめられてしまう。
さらに、怪我人や病人が街から消えていき、貧困にあえいでスリに走る子供も居なくなり、魔物の襲撃の不安が激減したという話は、特に情報の早い商人たちの噂になるのに時間はかからなかった。環境変化の前からドラセム家と親密なミケラルド商会が領都の支店を急拡大していくことも、皆の興味対象になり変化にいち早く気づく一因となっていた。
その結果、他領からも商人たちを呼び寄せることになり、ますます活気が出てきてドラセム侯爵領は好景気になり領民の笑顔が増え、怪しい者は近寄りにくい好循環がまわり始めた。
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