第944話 特殊部隊

「どうしたものかな」

「はい、どうしましょうか」

ハリーとティアーヌが悩んでいるところにサラとローデットが合流する。

「領軍のことで、な」

「今までの従士団では、基本的に犯罪奴隷で言うことを聞く前提もありましたので、集団行動も普通でしたよね。まぁダークエルフのように他者との関係に悩むことはありましたが」

「そうだね」

「それが領軍では、親がそうだったからとか、働き口がないから等の理由で採用されたのも居るからか、集団行動にあわないのもいるんだよ。領軍には、数百、数千でそろっての行動が必要な時も多いから、行軍練習などもしているのだけど、そういうのが苦手だったりして、和を乱すんだよ」

「魔法使いの方にはその比率が高い気がします。数少ない魔法使いだからのプライドがあるのかも」

「そう、そういう奴はたいてい他の奴より個人能力は高いからまた面倒でな」

「性格的に悪人というわけでもないんですけれどね。仲の良い身近な者たちとは上手くやっていますので」


「ふーん、冒険者みたいだね。少人数なら上手く行くけど、組織的な行動は苦手って」

「そう、兵士たちにも推奨するようにした冒険者登録、魔物狩りやダンジョン攻略はうまくやっているんだよな」

「あら、じゃあ大規模集団の一員のままにするのではなく、小規模な特殊部隊を新設したら?昔の私たちみたいに、独立部隊の方が役に立つときもあるんじゃない?」

「魔法使いの方からもそういう人を混ぜると中々良い冒険者パーティーが出来そうですね」

「小規模の魔物討伐などはそいつらにさせるとか、他国への潜入もトリストフたちと連携させるとか、確かにいろいろとできるかもな。それはそれで大変だろうが、本人たちの意向も聞いてみるか」


結果、5人前後で行動することを基本とする特殊部隊が設立され、ハリー直下で他の領軍とは別の訓練、任務をすることになった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る