第932話 侯爵領赴任
さすがに赴任地に着任するのに領主館に≪転移≫というのは格好がつかないと皆に言われるため、領都の手前に元々の従士団と一緒に≪転移≫して、領都に行軍で入ることになった。
顔見世の意味も含めて全員が騎乗である。馬車に、という話もあったが、せっかくならば、といつものバトルホースに騎乗した行軍である。
ターフルダ侯爵が帝国に内通していることを内偵して粛清するのに活躍した際、最後には悪魔との大規模魔法のやり取りを領都から丸見えであった。それによりターフルダ侯爵が無血降伏した経緯があったのであるが、当然それらのことは領都の民は分かっている。
サラたちは、長く続いたターフルダ侯爵家からドラセム侯爵家に領主が変わったことへの領民の反発等も不安であり、心中ではおそるおそるの行軍であった。
しかし、街道から領都に入った途端、主道路の両端を埋め尽くした領都民からの歓声がすさまじい。
「ドラセム侯爵家、万歳!」
「サラ様、お美しい!」
「コルマノン王国の伝説、ミスリル級冒険者!銀龍!」
「あれがダークエルフ部隊か。確かに美男美女だな」
「ドラゴンやワイバーンは居ないのですか!?」
「あの人数だけで一国を相手できるらしいぞ」
かなり話が膨れ上がって伝わっているような声も聞こえてくるが、概ね歓迎の声のようであった。新しい領主へ慮った文官・武官たちのサクラの可能性も思えたが、たとえそうであっても悪くない着任となった。
サラたちは手を振りながら領都の中心にある領主館まで騎乗での行軍を続ける。
領主館では、ターフルダ侯爵が去ってから今日まで領地運営を行っていた領主代行、そのもとで元々運営を行っていた文官、武官達が並び、サラたちを迎える。
前回、ターフルダ侯爵達を処分することになって来たときには意識していなかったが、この領主館、当然ながら公務をする場所、役所であると共に、領主の私邸にもなるのである。
役所で挨拶をした後には、私邸部分で家事をこなす職員達にも挨拶を行う。
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