第912話 上級訓練場

父兄の住む龍の爪先村付近の領主であるヴァーヴ侯爵の了承も得られたので、村の近くに訓練場を作ることにした。


王都近くの代官地でお世話になっている大工達にも相談する。

「そうですなぁ、材料の木さえ用意して貰えたら作りに行っても良いですよ。上手い飯と酒が貰える上に手間賃も弾んで貰えるならば。往復の移動も面倒見て貰えるんですよね?」

「もし可能ならば、我々大工の若手の練習にさせて貰えるとありがたいのですが」

どうも、代官地での開発が順調で若手の見習いが増えて来たのだが、代官地では他人の目や互いの出来の評価が気になって、完璧なものを求めてしまいやすく、若手の練習場所としては相応しくないとのこと。

辺境の村に作る訓練場の建屋であるので、基礎さえしっかりしているならば仕上がりへはそこまで完璧なものである必要はない。

互いのメリットも確認できたところで、いつもの代官地の開拓のように木々を魔法で倒して材木化するところまではドラセム家の従士団が行う。ただ、いつもほどの大規模開拓をするわけではなく訓練者用の建屋と少しの広場程度なので直ぐに完了する。


基本的には、龍の棲む山のBランクやAランクの魔物を狩りに行く基地であるので、常時に人がいるわけではないが、狩りから戻った際の休憩拠点、万が一の帝国からの侵略時の抵抗拠点にするため、それなりに塀や堀も備えた小さな砦のような様相になってしまった。

「単なる宿泊所程度と思っていたのに・・・」

「まぁこの方がいざとなればここに逃げ込んで貰うことも踏まえると、村民の皆さんにも安心して貰えるだろうし」

ということから、この訓練所にも転移陣を設置することになった。日頃の利便性を考えて、転移先は代官地に設定している。


後はここの世話人、家政婦であるが、いつものように、どこかの都市から女性奴隷を購入して来て配置することを話していると、兄達から相談された。

「なぁ、俺たちの嫁達をそこで雇って貰えないか?毎日にたくさんの仕事があるのではないだろう?街から村に来て暇も出来るだろうし、現金収入のあてがあると喜ぶと思うんだ」

本人達に確認してもありがたいというので、お願いすることにした。

実際にやり出して人手が不足する、妊娠してできることが減った等があれば、代官地から支援員を送り込むなど考えることにする。

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