第911話 転入者3
父兄を襲った帝国軍人たちは、いくら犯罪奴隷にしたとはいえ家臣団に迎えるのに抵抗があったので、帝国に売り渡すことにした。
帝都タウバッハに転移し、城と連絡をとって17人を宰相に引き渡す。
「先日の男爵と同様に単なる賊として扱って頂いても良かったのですが」
「いえ、襲撃の可能性を教えて頂いたことへのお礼と、彼らを使って皇弟派をうまく粛清いただけるとこちらとしてもありがたいですので」
「ではありがたく頂戴します」
いくばくかの貨幣と引き換えに捕縛した者たちを引き渡して後腐れなく手離れさせてもらうことになった。
貰ったお金は、襲撃の際に痛んだ村の家屋や塀などの修復に当てて貰うために村長に渡す。
「こんなに要らないですよ」
「お詫びの気持ちも含めてお受け取りください」
「ならば、宴会用のお酒や備蓄品の購入にでもさせて貰うかな」
「ところで、やはり引っ越しして貰えないでしょうか?」
「うーん、難しいよな。慣れ親しんだ先祖代々の場所だからな」
父レオンや兄たちと相談しても、やはり兄嫁たちも含めてこの村で住み続けるという。
王都で家臣団たちと相談すると意見が出てくる。
「龍の棲む山へ狩りの訓練に行く拠点を村近くに作るのはいかがでしょうか?」
「そうだね、山にはBランクの地龍ドレイク、Aランクの飛竜ワイバーンが居るので、上級者のみの訓練場というのもいいね。一週間交代くらいで≪転移≫できると良いかも」
「ですが、あくまでも他貴族であるヴァーヴ侯爵の領地なので勝手なことは出来ないのでは?」
「相談に行ってみるわね。結婚の報告もしないといけないし」
ハリーと家宰ローデットを伴って領都サイユに行き、ヴァーヴ侯爵と面談を申し込む。
「ようやく結婚する気になったのだな。お祝いは弾ませて貰うぞ」
「ありがとうございます」
「それと話は聞いた。辺境警備が甘くて済まなかった。ただ増員や体制見直しは難しいので、訓練場を作ってくれるのは逆にありがたい。よろしく頼む」
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