第892話 悪魔ランダム召喚魔法陣

領主代行達を連れて行った後は、目付部隊と共に洞窟に向かい、その場に残していたメンバとも合流する。彼らは倉庫にあった荷物の確認もしたようであるが、悪事の証跡らしいものは目付部隊が持ち帰ると言い、その他は食料などの生活用品であり、期待される魔道具や魔導書などの目ぼしいものはなかったようである。


奥にあった魔法陣のところで、その魔法陣を利用して大悪魔ファリクスを、いつものように悪魔ストラデルを召喚して魔法陣について説明を聞く。

「ふん、なぜファリクスまで呼ぶのだ」

「いや、単にこの魔法陣から出てきた本人だからね」

「いやいや、我の方が能力に優れているからであろう」

つまらない喧嘩を始める前に説明を催促する。


この魔法陣はもともと召喚しようとする相手を特定することなく、言うなればランダムな召喚をするものであるという。ただ、途中からはファリクスが特定されるようになったため、ランダムのはずなのにファリクスを指定するような中途半端な改変をしたのが、先にこの場所で死亡した教団員であったらしい。先日のサラが感じた冗長な感じの違和感の理由も理解できた。

「これって、魔力をささげるだけで適当な悪魔が召喚されるの?」

「いや、初めての召喚であるならばなおさら人間の魂をささげないと応じる悪魔はほぼ居ないであろうな」

「ふーん、試してみようか」

サラが神級魔法を使用するほどの魔力を込めて魔法陣に記載されている魔術語を唱えてみると小さな悪魔が姿を現す。

「魂は無いが、なかなかの魔力をささげた面白い奴はお前か?契約してやっても良いぞ。って、そこの悪魔のお二方は・・・?」

「我々が先約である。お前はさっさと魔界へ戻れ」

「は、失礼いたしました・・・」


「なんで帰してしまうのよ」

サラは呟くが、魔法陣を試せたことに満足している。ここの魔法陣を悪用されるわけにもいかないため、土精霊ペクトーンを≪召喚≫して完全に痕跡を残さないように地面を入れ替えて貰う。

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