第887話 大悪魔3

無理やり大悪魔を平原に移動させた瞬間を狙ってドラゴンのドンやワイバーンのワンからのブレス、それに合わせて火精霊ヨルバに神級火魔法≪溶岩≫を使用させる。周りの味方にまで被害を及ぼすフレンドリーファイアを回避できるタイミングでしか使用できない大技であったが、それなりにダメージを与えることができた気配である。


しかしその後も≪結界≫に対しての≪魔法消滅≫を互いに繰り返しながら合間合間での攻撃魔法、ブレス、≪死霊≫により湧いてくるレイスに対して≪浄化≫を含めた魔法攻撃などいつまで続くかと思われるやり取りがあった後、大悪魔の姿が薄くなったことに気づくサラ。

『ねぇストラデル、もしかしてチャンス?』

『確かに。しかし油断するなよ、侮れる相手ではないからな』


次の≪結界≫≪魔法消滅≫の隙に、王級風魔法≪爆雷≫を同時多発して明らかにダメージを与えられたタイミングで神級悪魔魔法≪支配≫を発動する。

「ふん、我にそのような魔法は効かぬ!だがこのままでは我のこの世界との繋がりとも消えてしまうのも確かのようであるな」

「負けを認めるのね。では力が消えてしまう前に魔界に帰るのは見逃してあげるわよ」

「せっかくのこの世界との繋がり、無くしてしまうのは惜しい。我と契約を結ばないか?力ある魔女よ」

「この魔女は俺のものだ!」

「ストラデル、一番はあなたよ。でも契約しても良いわよ、ここで引き上げてくれるのならば」

「我の名はファリクスである」

いつものように魔導書が与えられ、さっそく≪契約≫を結ぶが使用する魔力はかなり多かった。気軽に≪召喚≫することは出来そうにないと思ってしまう。

「では、また呼ぶがよい」

大悪魔ファリクスはそのまま消えていき、魔界に帰ったようである。


従士団員たちからも歓声があがり、駆け寄ってくる。

「流石はサラ様!」

「皆もありがとう、よく頑張ってくれたね」

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