第886話 大悪魔2

以前の巨大悪魔に比べて大きさが3mほどと中途半端であるため、ぶつける魔法も限定されてしまう。

大悪魔も≪結界≫を多用するため≪魔法消滅≫が使用できる魔術師団員や悪魔たちにはこれを、そして特定の属性魔法が中心になる精霊たちには、例えば火魔法と水魔法が競合しないようにティアーヌによるタイミング調整に従うことにさせる。

ティアーヌは次の集中攻撃の属性を事前に指示する役目になったのである。また火は右側、水は左側というだいたいの標的を決めておくことで少々ずれても影響が少ないようにした。

しかし、これらの数の暴力で大悪魔に一斉攻撃をしていても、なかなかダメージを与えられた実感がわかないほど、大悪魔には余裕が感じられる。


「ほぉ、なかなかの魔法使いたちであるな。お前たちが息切れしたときが楽しみであるな」

日ごろからサラに配布されている魔力回復薬にも限界がある。一瞬膠着状態と思えたタイミングでサラは王都や代官地に≪転移≫して、集結させていた残りの魔術師団員、第3騎士隊員、ドラゴンのドンやワイバーンのワンなどを≪転移≫で連れてくる。なぜか聞きつけていた元神国の神官で天使シュリエルを召喚できるアッズーラも居たのでありがたく来てもらう。

事前に状況を把握していた団員たちは、大悪魔との戦闘状況を認識したとたんに可能な限りの≪召喚≫と合わせての魔法発動を行っていく。ワンは洞窟から出て来ていたハリーを騎乗させて、ドンと一緒にブレスを吐き出す。


「ふむ、増員か。では我も」

大悪魔が≪死霊≫魔法でレイスを大量発生させる。もともと神国の神聖騎士団の裏部隊であった第3騎士隊員など神霊魔法が使える者を中心に≪浄化≫魔法も駆使する。また小山の周辺で待機するしかなかった騎士隊員も魔剣を使用して、目付の部隊員たちの防衛に専念する。


だんだん従士団員でもまだ実力が低い者から順次脱落して行き始めたとき、サラは隙を見て風精霊ジョステルとエムメエルに神級風魔法≪竜巻≫を発生させて大悪魔を小山から平原に移動させる。

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