第888話 ターフルダ侯爵領悪魔教団後始末

最後に大悪魔を召喚して死亡した黒ローブ以外は、生きて捕えてあるので目付が連れてきた奴隷商人に犯罪奴隷の対処をして貰いつつ、生贄候補であっただろう5人に回復魔法をかけて食事も与える。


奴隷からの情報は推測通り、ターフルダ侯爵が内通したレーベルク帝国の皇弟派が連れてきた悪魔教団の生き残りであった。生贄候補の5人も近くの村から拉致されてきた若い女性ばかりであった。ターフルダ侯爵領だけでなくコルマノン王国のあちこちから拉致してきて生贄にしていたとのこと。

近くの屋敷にあった馬車に生贄候補だった5人も載せて、従士団員たちがぞろぞろと領都に向かう。従士団員と目付部隊のうち2人ずつは洞窟と屋敷の見張りのために残置する。ドラゴンのドンやワイバーンのワンも一緒に移動している。


領都に近づくにつれ夜が明けてきて、領都の前に軍勢が待ち構えているのも見えてくる。

「おい、もしかして大悪魔との戦闘の明るさって領都から見えたのかな」

「この距離であれだけの魔法ならばおそらく」

「騒動を起こした罪ってあったりするのですか?」

「はい、ありますがこの度は拉致、生贄をしていた悪魔教団の討伐という名目がありますし、それを私たちが証明しますのでご安心を」

ハリーのつぶやきに答えた目付がさらに説明をする。


ある程度領都に近づくと厳しい顔をしたターフルダ侯爵が一騎で寄ってくる。

「ターフルダ侯爵、この度は」

「ドラセム侯爵、皆まで言わないで欲しい。どうかこの領都の民たちに危害を加えるのだけは勘弁して欲しい。投降する」

サラが話しかけたところを遮られ、投降するといった後は下馬をして座り込む。

「ターフルダ侯爵、帝国への内通を含めた罪を認めるということでしょうか」

目付貴族による質問に対して、ターフルダは頷く。


サラとハリーはお互いに顔を見て無言で頷く。ここは目付に任せたら良いのだと。

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