第865話 元悪魔教団員
リスチアンの女従士を元悪魔教団員として見覚えがあるといった者たちは、いずれもアルテーラ王国海軍と繋がっていた、ゴルガ付近でサラたちを襲撃した3人であった。
帝国の悪魔教団の本拠地を出てアルテーラ王国に向かう際にすれ違いのように入団した彼女を見かけたらしい。数年前に一方的に見かけたぐらいなのでこちらのことを認識はしていないだろうとも。
美人だから数年前のことでも記憶にあったと3人とも発言するのに対して、家臣団の女性たちからのため息をつかれたうえに目線が冷たい。
従士雇用の理由に美人だったからというのもあったリスチアンも肩身が狭いままつぶやく。
「彼女のこと、これからどうしたら良いでしょうか。犯罪組織に属していたという証言のみと、他貴族から送り込まれたというだけでは犯罪者扱いはできないですし、かといって不安がある彼女を雇用し続けるのは・・・あぁ、素直に犯罪奴隷を従士に雇用しておけば良かったのに・・・」
「まぁ今更後悔しても仕方ないですよ。ターフルダ侯爵一派に気取られないために、しばらくは今のまま頑張ってください」
ハリーがリスチアンを励ます。
サラは改めて宰相に、ターフルダ侯爵領での軍事訓練、元悪魔教団員による魔法使いの増加、ノイハイム伯爵に送り込まれた魔女も元悪魔教団員であったこと等を報告する。
「流石、ドラセム卿の動きははやいな。豊富な人材に加えて移動時間が短縮されることが理由なのだろうが」
「は、ありがとうございます」
「ふむ、今のところターフルダ侯爵の行動そのものを咎(とが)める術はない。軍事訓練そのものは、軍役義務のある領地持ち貴族による私有軍の鍛錬であるので、それのみは逆に褒めて推奨する対象である。また、元悪魔教団員であっても犯罪者と確定していない限り有用な人物を雇用して戦力増強することも推奨する内容である。あるとすれば、領内の魔物の間引きが不足していることか。直接的な被害があまりにも増えた場合、領内管理不行き届きで最悪は領主を改易などとなるが、今の程度ではせいぜい注意喚起までであろう」
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