第862話 神級スクロール
サラ達は何か感づいていると気づかれないように、出来るだけ通常通りの素振りを行う。
とは言うものの、サラ自身は特に何かと外国へも含めて出張が多かったので、王都に居るときには不在の間に注文が溜まっている魔法回復薬の調合、スクロールの作成、それらの納品に合わせたミケラルド商会で陳列してある商品への鑑定が通常業務となってしまっている。龍牙兵、魔法の袋作成などもそうであるが、ドラセム家以外から見えるものではない。
そこで、サラか師匠エミリーのみが調合できる神級魔法回復薬の作成にはドラゴンの血が必要なので、冒険者パーティーの6人で龍の棲む山へドラゴンを数頭ばかり狩りに行くことにした。既に何度か倒していることもあるのと、通常よりも強いドラゴンである今は従魔になったドンをサラ1人で圧倒できたぐらいであり、通常ドラゴンに対しては仲間の訓練かねがねになる。
そうしてドラゴン3頭から入手した、牙と歯からは龍牙兵を製作、血からは神級魔法回復薬を調合する。そして皮をリリーに依頼して羊皮紙にして貰うことで前から試したかったことに挑戦する。
羊皮紙が出来上がるまでに、ワイバーンをもっと大量に狩りに行き、その血で仲間たちが特級魔法回復薬を調合し、その皮と魔石から王級魔法のスクロールを作成する。
挑戦するのは神級魔法のスクロールである。以前の王級スクロールの試行錯誤の経験で、Aランク魔物の皮と魔石でないと失敗することを理解していた。同様であるならば、Sランク魔物の皮と魔石があれば神級スクロールを作成できるとの期待である。
リリーが完成したと持ち込んでくれたドラゴンの羊皮紙と、ドラゴンの魔石を砕いて混ぜたインクを用いて神級水魔法≪洪水≫の魔法陣を記述する。何枚か製作し、サラ以外で神級魔法を発動できる魔力がありそうなティアーヌを連れて、港町バッソへ≪転移≫し、人気(ひとけ)のない海上で試して貰う。
ティアーヌの魔力でもギリギリであったようだが、海上でしっかりと≪洪水≫らしい水量を発動することができた。ドラゴンの魔石をスクロールに押し当てて、自身の魔力消費をせずに発動できることも確認できた。その後は魔力の魔法回復薬も使い、残ったスクロールを使い切るだけティアーヌが試した後には、彼女がスクロール無でも小さいながらに≪洪水≫を発動できるようになったことを確認出来た。
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