第860話 獅子身中の虫2
寄子貴族に送り込まれていた3人には、ときどき送り込み元の貴族の使いが進捗確認に来ているようだが、あまり目ぼしい物は無いと報告して貰いつつ、トリストフたちが尾行する。
その3人への使いの者が向かった先はいずれも、サラたちの代官地の西側に出来てきている街区の中でも治安の悪そうなところで、ならず者のたまり場になっているようであった。
余計なことを言わないように命令した上で、寄子騎士団シャルナン・ドラモンとジェレオン・ドラロクの従士である犯罪奴隷2人にもこっそり見張って貰うと、買い物の際に絡まれたならず者たちもその中に居たようである。
たまり場に対して風魔法≪集音≫で音を拾ってみても関係のないロクでもない会話ばかりでトリストフたちも疲れてしまう。
そこで、たまり場にたまに来る少しだけまともな身なりの者を尾行していった先の屋敷は、イトリーザ法衣男爵の物とのことであった。
家宰ローデットと、その親であるヴァーヴ侯爵の家宰の情報によると、ノイハイム伯爵、ハーフルダ男爵、イトリーザ男爵はターフルダ侯爵の一派らしい。ターフルダ侯爵は領地持ち侯爵であり、その領地は王都やサラたちの代官地もある王領とヴァーヴ侯爵領の間にあるそうで、街道としては今までに何度も通過しているところになるようである。
ノイハイム伯爵は王都に詰めている法衣貴族であり、上級貴族の伯爵なのでターフルダ侯爵の寄子ではないが、ハーフルダ男爵、イトリーザ男爵の寄親であるとのこと。
ターフルダ侯爵は、先般までは伯爵であったヴァーヴ侯爵家がレーベルク帝国との国境という要所を所領にしていることが妬ましく、さらにその帝国との戦争の手柄で侯爵にまでなったことに思うところがあるらしい。またその寄子でありその戦争で手柄のもとになったサラたちに対してはなおさらのようである。
「え?王領の隣の領地の方が要所で、自尊心を満足させるんじゃないの?」
「それが、武闘派の軍閥だから、王領の横なんて安全なところでは嫌らしいです」
「何て我がままな・・・」
さらに、帝国との戦争でも1回目は平原で良いところが無、2回目でも帝国に攻め入っても実入りが無いまま帰ることになり、神国の際にも王国第1騎士団のみしか派兵されなかったので留守番と不満が溜まっているらしい。
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