第859話 獅子身中の虫
寄子貴族5人それぞれは自身のまわりについて不安になり、従士雇用は合計でも3人だけであったが、常時雇用でない雑務の依頼相手まで疑ってしまう。そこで翌日、話を合わせてサラの館まで連れて行き≪簡易契約≫で同様のことを試すと、さらに2人、魔法訓練の秘密まで入手をしたわけではないが、それ目的で近づいていた者たちが発覚する。
それぞれの貴族の名前を合わせて、3人の貴族の名前を家宰ローデットに確認する。
「ノイハイム法衣伯爵、ハーフルダ法衣男爵、イトリーザ法衣男爵ですか。いずれも武闘派の軍閥の寄親と寄子ですね。サラ様の活躍を妬んでの行動の可能性がありますね」
サラは従士長ハリーと家宰ローデットを伴って、宰相ジョエリー・ヤンクシオに面談を行う。
「ふむ、その3人は確かに派閥が同じであり、日頃からドラセム侯爵を成り上がり者と陰で非難している連中らしい。まぁこれだけ急速に侯爵にまでなったのであるから、そのような声をいちいち気にしてはいられないだろうがな」
「この後はどうしたら良いでしょうか」
「そうだな、伯爵が送り込んだのが女魔法使い、魔女というのが気になる。初級魔法使いといえども。ドラセム侯爵のところを除くとやはり魔法使い自体が珍しいのに、かの伯爵にその伝手があるとは・・・背景を調べた方が良いだろう。国内の不満者による少々の探り合い程度ならば放置するのもありだが、他国と結んだ獅子身中の虫となると話は別だからな」
「かしこまりました。もう少し探ってみます」
「こちらでも確認していくが、ドラセム卿のところには頼もしい者たちが多いようだから期待するぞ」
いつも以上に怖い顔の宰相との面談は早々に切り上げて帰宅し、家臣団の皆と相談する。
「やはりここは我々の活躍しどころかと」
元暗殺者であるトリストフたちが率先してやる気を出す。
「我々も何かしら耳にすれば報告いたします」
ドラセム商会の番頭であるクリストンも宣言する。
「そうね、こちらが感づいていることを下手に伝えて逃げられることになっても面倒なので、お願いするわね」
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