第845話 海賊尾行
次に囮にかかった海賊ガレー船はわざと逃亡させるため、捕縛を意識せずに圧倒的な力を見せつけることにする。近接戦闘をした上で逃がすのは面倒なため、ガレー船が近づいて来たときにたくさんの≪炎壁≫を囮の商船とガレー船の間の海上に出現させることにした。そうすると見込み通り、すぐ様に西のアルテーラ王国の領海の方面に逃亡を始めた。
それまでと同様にこっそり尾行していたのだが、国境を越えたと思われてもアルテーラ王国の海軍に撃沈はされないどころか、並走して西に進むのであった。
ある程度進むと軍船がガレー船に接近して人が乗り込んでいる。
「どういうこと?」
「海賊たちに拠点を分からなくさせているから、帰るためには案内人が必要ということだろう」
「つまり海軍との関連が確定したということね。海軍も懲りないわね」
伝言を聞いた元アルテーラ王国海軍のミリアーノは辛そうな顔をする。
タカマーノの忠告に従い、アルテーラ王国の領海内での≪飛翔≫は避けるため、囮の商船から、姿を消した悪魔たちを飛ばして尾行させ続けたところ、国境から2日ほどの巨大な島の港にガレー船たちが入って行く。
遠目に見える島に小さな拠点を作り、そこに奴隷にしたガーライト王国の私掠船メンバを転移で連れて来て確認させると、やはりその巨大な島が海賊たちの隠れ家であった。
ミリアーノに見せても、自身は海軍時代に認識していない拠点であったが、明らかに海軍の軍船も複数あり海軍拠点であることを認めざるを得ないとうなだれた。
サラは王都ワーズに戻り、宰相ジョエリーに報告する。
「拠点を突きとめたとのこと、良くやった」
「この後はどうしましょうか?」
「うーむ、隣国海軍と正面を切って戦争すると消耗もするし、まだまだコルマノン王国の海軍はアルテーラ王国の海軍に勝てるとは思えない。もちろんそちの魔法の力が無い前提だが。そちが全力で魔法を使うと壊滅できた上に海賊の資産として拠点を没収できるのであろうが、やりすぎの反発が強いだろう」
「では?」
「アルテーラ王国に情報提供をした上で、貸しにするか。王国全体の仕業でなく、一部の暴走であると期待して」
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