第832話 モンブール海賊疑惑3
モンブール付近に海賊出現の噂を聞いたとして、サラはモンブールの代官の館に訪問している。宰相からの書状があることから、特に問題は無く面会できる運びになった。
「ドラセム侯爵、大変お待たせしました」
「いえ、お忙しいところ申し訳ありません。宰相からの書状にあると思いますが、モンブール付近の海賊騒動の調査指示を受けてまいりました」
「王都に我々の使者が到達するにはまだ時間がかかると思っていましたが、流石ドラセム卿、というところでしょうか」
「はぁ、まぁ。それよりも海賊についての情報をお教えください」
宰相からも調査指示とサラへの協力指示が書状に書いてあったようで、代官が入手している情報を共有される。
やはりモンブール付近で何隻かが海賊の被害にあっているらしい。ただ、モンブールの海軍の哨戒範囲に無い、少し南東側、アルテーラ王国からは離れたところで襲撃を受けているらしく、詳しい情報は無いとのこと。ただ、命からがら逃げて陸にたどり着いた者からの報告では、この辺りでは珍しいガレー船も含まれた船団の海賊であったとのこと。
ますますガーライト王国の私掠船が大陸を渡って来て海賊行為をしている可能性がありそうである。
サラはいったんこの情報を宰相に報告するために、王都ワーズに戻る。
「海賊行為をするには、寄港する場所が必要となる。食料や水の補給など、商船から奪うだけでなく船の整備なども必要であるからな。ガレー船が含まれるということは目立つはず。モンブールからラブリニーの間でそのようなところは、商船の補給地にも使用している港町程度しか無いと思っていたのだが」
「ラブリニーのように遠い場所ではなく、まずはモンブールから少し東までの海岸線を調査しますか」
「そうだな、空を飛べるそなた達ならば速いか。頼まれてくれるか」
モンブール近くで≪転移≫のための座標を確保すると、ドラゴンのドンを連れて行き、モンブールから南東に向かい、海上の方から陸地を見ながら進むことにした。素人のサラが見てもガレー船ほど大きな船を係留するには無理であろう砂浜、岩場や巨大な崖などがほとんどであり、なかなかそれっぽい物は見つからない。
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