第831話 モンブール海賊疑惑2
アルテーラ王国の港町バスキで情報収集した結果、コルマノン王国の港町モンブールの付近で海賊騒動があったのは事実らしい。
サラが以前にこの港町バスキで盗賊騒ぎを解決した際に、少し北の川沿いにあった盗賊に協力していた商人から引き取った店舗や商船、倉庫やその従業員がドラセム商会としている。彼らもコルマノン王国との間での船を使った商売をしているので、それらの情報を入手したので報告して来たという。
コルマノン王国とアルテーラ王国との間では戦争でもなく平和であるので、商人としては安心して貿易ができる環境であったのに、今後は悩ましい。陸路であると、運送可能量も減る上に時間もかかるので、とのことである。そこで、今は商船をバスキに係留したままらしい。
サラとしては自身の商会メンバも困っているようであるので、なおさら原因究明、対処が必要である。
囮というわけでもないが、安全に商売をして貰うため、コルマノン王国の王都ワーズから、従士団を何人か呼んでその商船に護衛として乗せることにした。何かあったときにすぐに連絡を取れるようにするために水精霊シルビーなど精霊が≪召喚≫できるメンバも含めている。長い船旅で不慣れな者が船酔いする可能性もあるため、元アルテーラ王国海軍である第2騎士隊の隊長ミリアーノ・アスコーネを含めた3人と、彼らと手を組んでいた元々帝国の悪魔教団員であった魔術師団の3人を選抜している。
「母国での汚名返上の機会を頂戴してありがとうございます!」
「まぁ海賊と出くわすか分からないし、あまり気を張り詰め過ぎずにね」
サラたちは陸路でモンブールに移動することにする。途中の海岸線なども念のために見るためである。ただ、バスキもモンブールも各国の最前線の港町であり、その間の海岸線においては、今回の海賊騒動に関係するような怪しい物は見つけることができなかった。
モンブールに到着すると宿を確保しつつ、ここでもミケラルド商会、冒険者ギルド、酒場などにて情報収集しつつ、代官の館に宰相の書状を持って訪問する。コルマノン王国は海軍が十分でないため領軍ではなく王国が直接管理している。そのため、主要な港があるモンブールは直轄地となっているのである。ちなみに、コリサ大陸との窓口である港町ラブリニーも王領の直轄地であり、領主ではなく王家の代官が治めていた。
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