第833話 モンブール海賊捜索

モンブールから南東への海岸線を、ドラゴンの飛行速度で3日ほど調査しても、ガレー船等の寄港地になりそうなところは見つからない。

最後に見つかったのは通常の港町であり、ここに海賊が寄港できるとは思えない。


宰相に報告に戻ると

「ふむ。ドラゴンで3日ならば、船舶では1週間以上と推測されるな。となると、ユノワ大陸側ではなく島なのか。もしくは、コルマノン王国領海ではなくアルテーラ王国内の可能性が出てきたな。特に島となればコルマノン王国の領海のは小さな岩場のような島がほとんどで、寄港できそうな島はアルテーラ王国の領海には多いからな」

と説明を受ける。

「勝手に他国の領海を調査するわけにもいかないから、モンブール周辺のコルマノン王国の領海内の島を念のために調査継続してくれ」

「かしこまりました」


いったんモンブール近くの野営拠点、ドラゴンで騒ぎにならないために街からそれなりに離れたところに確保してある、崖になった海岸近くに戻る。

その拠点の仲間たちに宰相の言葉を伝えた上で、ドラセム商会の船に乗ったメンバにも水精霊シルビー経由で情報を伝える。今はドラセム家の第2騎士隊である、元アルテーラ王国海軍の隊長ミリアーノからは返事が来る。

「確かに、アルテーラ王国の領海には無数の島があるため、海賊が拠点にできる場所も多いと思います。ただ、ガレー船を係留できるほどの場所はすべて海軍が把握しているはずであり、海軍に知られずに海賊が拠点を構えるのは難しいかと」

「つまり、アルテーラ王国海軍の関与が疑われるということかな」

「レーベルク帝国と手を組んで悪だくみをしていた自分たちが、元同僚のことを非難したくないのですが。ただ、海賊行為をしているのがコルマノン王国の領海上のみであり、アルテーラ王国海軍が調査をしてないだけという可能性も信じたいですが」


王都ゴルガに転移し、陸軍閥ではあるものの、ドワーフ村等の経緯で縁がある第3王子ダニエーレ・ロリアルド・アルテーラと、そのお付きの一人であり海軍閥とも情報交換をしている知性派のエドガルド・タカマーノ騎士爵に現状を伝える。

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