第829話 スクロール改良3

家政婦から洗濯ばさみの案を何気なく提案されたので目から鱗が落ちる。

夕食も早々に切り上げて、少し大きめの洗濯ばさみを使って試作品を作るとかなりいい感じである。

魔石自体が滑りやすい形状であるため、間に布を挟むような工夫も行うとなおさら成功である。


かなり最終品に近い物が出来上がり、隣人のカーラのお店に持ち込み最終チェックをしている。

「サラ、いい感じじゃない。良いよ、これ」

「上手く行けば製造は外注して数を増やしたいと思っています」

「良いんじゃない?製造の秘密を守れる職人を紹介するわよ。これでスクロールの販売数も爆発的に伸びるのが期待できるわね」


楽しく盛り上がっているところに

「店主は居るか?入るぞ」

と記憶にある声がしてくる。もちろんサラと話し込むつもりで準備中の札を出しているのに、である。

「ロン様、来客中です」

「なんだ、サラではないか。では良いだろう?」

ずかずかと中まで入って来ながらそういうロン。

「お、また面白いものを作っているのか?ん?なるほど。魔石の魔力を使ってスクロールの魔法を発動させるのか。うーむ、良いな。完成したら俺にも販売して貰おうか」

「ロン様、勝手に入って来て、機密情報を見ないでください」

「そういうな、俺たちの仲ではないか」

「どういう仲のつもりもありませんが」

「龍牙兵の再現に協力しただろう?」

「あぁ」

「それよりサラ、龍牙兵の後の活躍、神級の回復薬や、神級の回復魔法の話を聞いたぞ」

「いったいどこからですか・・・」

カーラとサラも呆れながら、ロンからの龍牙兵10体の追加発注の話を聞く。牙だけでなく歯でも、強さは減るものの再現した話をすると、牙は2体で残りは歯で良いという。また、スクロールの魔石発動のための道具も完成すれば、まずは10個発注するという。

仕方ないので追加でドラゴン狩りを行い、龍牙兵や神級回復薬の製作をしておく。

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