第828話 スクロール改良2

スクロールを、魔石の魔力で発動させる仕組みづくりを検討しているサラ。


スクロールは使い捨てであるが、その魔石の仕組みは繰り返し使いたい。またスクロールによって消費する魔力が違うことから、使用する魔石の大きさは可変であること、使用して空になった魔石を取り外すため脱着可能にする必要がある。

また日頃丸まっている羊皮紙を使用時だけ延ばすので、元に戻って丸まらないように伸ばしたままで魔法陣に消費する魔石が触れる仕組みが望ましい。


試行錯誤の末に作ったのは、スクロールの幅より少し長めの棒である。丸まっていたときには一番外側であったスクロールの端に、棒の先端を突き刺し、広げたスクロールの上を横切るように棒を倒して、手元では丸まっていたときにはスクロールの芯側であった端と、魔力を流すための発動スイッチがある持ち手になる。

これだけでは単に丸まったスクロールを広げるのを支えている棒であるが、棒の中ほどに魔石を挟めるようにしたのが工夫である。棒の中ほどに万力(まんりき)が付いていて、魔石の大きさに合わせてねじをまわすことで、魔法陣に魔石が挟めるようにしっかり固定できるのである。


さっそくカーラのところに持ち込んで見て貰う。

「サラ、すごいじゃない!確かにこれなら、だね。後はこの先端が突き刺し過ぎないように剣の鍔みたいなものをつけようか」

「なるほど」

「それに、できれば、この万力のところをもうちょっと何とかしたいね」

「魔石の大きさが可変なので、なかなかいいアイデアが無くて」

元々は単純に布紐で魔石を結び付けるのを考えたが、外れないように結びつけるのは難しいのと、魔法陣との間に余計な物である布紐が挟まることが多くなってしまったのである。そのため、魔法陣との接地面を確保するために、横から万力で止める仕組みになった。


悩んでもいいアイデアが浮かばず、皆で夕食をしているときに、職人であるリリーやカーヤなども交えて相談をするが、同様であった。そこに、給仕をしている家政婦が発言する。

「横から口を出して良いでしょうか。洗濯物を乾かすときに飛んで行かないように挟むときに使っている、洗濯ばさみは駄目ですか?」

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