第827話 スクロール改良
遠征などで自分の時間が取られていたので、溜まっていたやりたいことに次々と着手しているサラ。
スクロールも王級が製作できるようになったのは良いが、やはり王級魔法は消費魔力が半端ないため、そのスクロールが使用できる者は限られてしまう。
灯り等の魔道具の場合は、使用者の魔力を使わないように組み込んだ魔石の魔力を使用する仕組みが出来上がっている。これを何とか流用できないかと考えているのである。
こういうときの一番の相談相手は、隣人のカーラである。
「そうねぇ。昔からそういう話はあったけど、スクロールがそれほど普及していなかったから、その研究は完成したと聞かないわね」
「やっぱり。スクロールの魔法陣に魔石を置いただけで発動されてしまうと、作ったときに発動してしまうことになるし、スクロールって意外と大きいから丸めて持ち運ぶのにその丸めたまま使用しようとすると魔法陣の形が違うから発動できないだろうし、と思って」
「なるほどね。発動トリガーと発動時の形状が課題なのね。トリガーは、灯りの魔道具のように使うときと使わないときの切り替えスイッチがあるからそれは何とかなるのかも。形状は悩ましいわね」
カーラにもその他の魔道具での事例も含めてアイデアは無いようなので、師匠エミリーや魔術学校の学校長クレオンダにも聞いてみるが、なかなかパッとしない。
とりあえず、広げたスクロールの魔法陣に触れるように魔石を置いたうえで、その魔石に魔力を流してみる。もちろん、スクロールの魔法陣が発動するほどではなくトリガーが目的なので少量だけである。
スクロールが実行されない範囲でありつつトリガーになる程度の魔力は、何度も試行錯誤することで把握することはできた。
カーラに教えて貰った、灯りの魔道具でのスイッチをその代わりに繋いでみても上手く行く。逆に灯りと違って、発動した後に切る行為は要らないのでシンプルな作りにできそうである。
次はいよいよ、丸めて運ぶスクロールを広げた状態にしてから魔石の魔力で発動する仕組みの検討である。
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