第826話 不遇悪魔

サラたちが契約している霊的存在のうち、祭壇や祠も作られていない不遇な悪魔たち。


サラの魔法発動体でもあるストラデルは、魔法の使用により倒した魂なども入手できるなどまだ力をつける機会はある。しかし、他のアエグルン、フールカン、アゼルソン、セパルは元の契約者である元悪魔教団であり今はドラセム家の魔術師団員であるメンバからも、なかなか召喚して使用される機会が少ない。

彼らは基礎能力があったため、人目についても問題のない精霊召喚も習得し、日頃はそちらを使用するからである。

もちろんサラはもっと多くの精霊等とも契約している上に、悪魔でも上位のストラデルが居るので、なおさらである。


忘れた頃にサラが魔石を皆に与えてくれる機会に、陳情する。

「サラ様、我々にも力をつける機会を頂けないでしょうか」

「我を差し置いて!」

「はい、そんなことを言えた立場でないことは認識しているのですが」

ストラデルが横から口出しをしてくるが、希望だけは伝える。サラとしても、後ろめたさがあったからときどき魔石を与えていたわけで、検討する。


「というわけで、悪魔たちの狩場を考えたいのよね」

「確かに悪魔が人目につくのは避けたいのは分かる」

「ただ、王都ダンジョンでは潜った後の狩場は独立しているから良いけど、ダンジョンにつくまでと、並んでいるときに面倒なのよね」

「有名人になるのって大変ね」

「魔の森でもどこで誰が見ているか分からないし、龍の棲む山ほど高位の魔物に対応できるほど力がついていない悪魔も居るし」

「アルメルス神国の辺境都市ロージアンの南西、辺境国でオークたちを狩るのが良いかもね」


サラはドラゴンのドンと辺境国に≪転移≫で行った後、悪魔たちを召喚した後は、魔物がドラゴンを見て逃げ出さないほど上空の方でドンの背中に乗りながら魔法回復薬の調合をして時間をつぶす。悪魔たちは自分の実力に合わせた魔物を自由に狩り、魂や魔石を入手することが可能になった。少しは悪魔たちの底上げになると、ドンのときのようにサラが単独で戦闘するような機会がまた有ったときの助けになると期待している。

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