第824話 神級魔法
「違う、もっと強い意志で!」
悪魔ストラデルにサラは魔法の指導を受けている。悪魔魔法の神級≪支配≫である。名前の通り、上級魔法≪魅了≫よりも強固に相手を支配する魔法であり、人類だけでなく人型魔物まで対象になる。そのため、まずはゴブリンで練習しているのである。
ストラデルが見せてくれる実演では確かにゴブリンを右に左に自由に操っているが、サラが発動しようとすると失敗して怒りをかうようで、まるで≪挑発≫が成功したようになってしまう。
「サラ、もっと魔力を込めて!」
水精霊シルビーに指導を受けているのは、水属性魔法の神級≪洪水≫である。大量の水を勢い良く敵に当てるものであるが、生成する水量が多く、神級にふさわしいだけの魔力消費もある。王級までの魔法より使用する魔力が膨大であり、その魔力の込め方になれていないので、≪水球≫等に比べて大量の水は発現するものの、とても洪水と呼べる規模ではない。
「もっと完成形をイメージして!」
天使マルカルロにも、回復魔法の神級≪神回復≫の指導を受ける。既に王級魔法の≪王回復≫で臓器欠損まで治せるようになっていたので、神級でのみ治せる四肢欠損の者を探して練習している。
昔スラム街に住んでいたミーナがお世話になっていた人々へときどき差し入れに行く際について行き、元冒険者であったが片腕を無くしてスラム街に住んでいた人と面会する。最初に無くなった腕が元に戻った姿を、反対の腕を見比べながら想像するが、なかなか上手く行かない。そこで最近作れるようになった神級の魔法回復薬により同じ効果が得られる様をじっくり観察することにする。いきなり腕の全てが再生するのではなく、だんだん端から再生する。肩から指が生えて伸びて行くのではなく、肩からすぐの太い部分が少しだけ再生し、その少し下のまだまだ太い部分が少しだけ再生し、という感じである。
「おいおい、本当かよ!ありがとうございます!」
「ミーナがお世話になっていたお礼ですので、気になさらずに」
その元冒険者から多大な感謝を受けるものの、同じような腕の欠損者はスラム街の身近に居ないので、今度は王国騎士団の退役者を探す。その元騎士団の片腕の人物に対しては、実際の再生イメージが十分についていたため、膨大な魔力を使用したものの、何とか成功することができた。
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