第820話 再アルバジル脳内

俺は、ドラセム侯爵家騎士団、代官地護衛隊長のアルバジル。

とは言っても、元盗賊の犯罪奴隷なんだけどな。この魔の森の開拓地が小さな建物がいくつか程度のときに、空家だったから捕まえた商人を連れ込んでいたところをサラ様たちに捕まってしまい、犯罪奴隷になったのがきっかけで。


それが今やこの開拓地も副都と言われだすぐらい巨大な代官地になり、俺自身も部下が80人ほどの隊長に。最初は盗賊仲間だった7人だけだったのに。手が回らないから、その7人のやつらを順次副隊長にして行っているが、どうしても書類仕事が増えてきて。苦手なんだよなぁ。家宰のローデット様がその支援のために事務職も増やしてくれているので何とかなってはいるが。


最初の8人が全員銅級冒険者になったときにはご褒美に≪収納≫の指輪と、空魔石を使った魔力操作訓練を教えて貰ったんだよなぁ。あれから次は銀級だと頑張って、本当に8人とも銀級冒険者になったときには祝金や、収納量がもっと多い指輪、魔剣などいっぱい貰えたよな。

騎士団として鎧やマントもお揃いで支給されるし、馬もバトルホースの豪(えら)く立派な物を、さらに住処も貰えるし家政婦も増えて来たし。

鎧やマントはありがたいんだよな。護衛隊って、みんなもともと犯罪奴隷だからどうしても険しい顔の奴らが多くて印象が良くないのだけど、この統一された格好は代官地の住民や来訪者から、サラ様の家臣として見て貰えるから、尊敬もされる。


開拓地が広くなるのに合わせて、隊員も増やしてくれているので、まあ育つまでは大変だが何とかなっているかな。最初は人に教えるなんてわからなかったけど、何度も追加があると、冒険者登録させてダンジョンや魔の森で小遣い稼ぎというご褒美を前にぶら下げて、魔力操作などもだんだんと覚えさせていくと、勝手に育っていくことが分かった。奴隷になって人生諦めていたのに、生活も結構自由だし、そのための金が賃金以外に稼げるんだからな。

最近は代官地に冒険者ギルドの拠点もできたから素材買い取りして貰うのも含めて色々と便利になったしな。


ま、あの侯爵家ご当主のサラ様は常識外のことを良くやるのには、慣れない奴もいるけどな。魔の森をちょっと開拓していただけだったのに、いつの間にか大規模に、石壁で覆ったり、巨大な湖を作ったり、さらには門にトロールのストーンゴーレム。まぁ笑うしかなかったな。

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