第815話 龍牙兵2
無事に龍牙兵がドラゴンの牙から誕生する。
「さすがだな。見事だ。次は動かしてくれ」
前後左右に意識するだけで、意図通りに動く。
「ハリー、ちょっと手伝って」
近くで様子を見ていたハリーに剣と盾を自分自身と龍牙兵のそれぞれに装備させて、模擬戦をさせる。そこからはサラの思考ではなく自分で戦うように指示する。
単なるEランク魔物の骸骨スケルトンよりはかなり強いが、Aランク相当の金級冒険者の剣士であるハリーにはあしらわれている。
「ハリー、もう良いわ。ありがとうね。強さはどのくらいだった?」
「そうだな、Bランク魔物、銀級冒険者ぐらいかな」
「これ、牙でなくて普通の歯だったらCランクぐらいかな。また今度試してみましょう」
「うーむ、普通の兵士では勝てない強さだな。サラ、これにはどのくらいの魔力を込めた?」
「そうですね、他の属性魔法だと王級魔法ぐらいですかね」
「やはりな。これは魔力が切れるまで放置した後に魔力を込める検証をしてみよう。次は制御用の魔石を試してみよう」
ハリーは、サラに敬語ではなく対応している見知らぬ美男子が気になりつつ、どこかの貴族のような雰囲気なので黙って様子を見ている。少々の魔法は使えるようになっても、高度な物はわからないこともある。
カーラにチェックして貰いながら、魔石に魔法陣を刻み、それをドラゴンの牙に埋め込む。さすがに成龍ドンの牙だけあってかなり大きく、人間の歯とは比べ物にならない大きさであるので、適当な大きさの魔石を埋め込むのに苦労はしない。
起動まではしないように魔力を込めて完成した牙をロンに手渡す。ロンが魔導書にあった魔術語を唱えて地面に投げると、今度も無事に龍牙兵が誕生する。
「ハリー、もう一回お願い」
ハリーが再び模擬戦闘をしてみるが、強さに違いは無いようであった。
ドラゴンの牙から作った龍牙兵は、直接起動した方も、魔石で制御している方も、1時間ほど放置すると動作しなくなったので、サラが魔力を込め直すと動き出す。
先ほどのカーラのアイデアである、大きめの魔石を頭蓋骨の中に結び付けてみると長時間動作するようである。
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