第814話 龍牙兵

不審人物のロンに対して、ドラゴンの牙2本をあげる代わりに龍牙兵の魔導書を見せて貰うことになったサラ。

「ま、どうせ実験の際には魔力の多い奴の協力が必要そうだったからな」

「じゃあ一緒に話を聞いているカーラさんにも見せてあげてくださいね」

「仕方ないな」


サラがドラゴンの牙2本を卓上に出すのに合わせて魔導書が提示される。確かにかなり古そうな趣のある魔導書ではあるが、サラが読んでみても所々分からないところがあるがだいたいは理解できた。

系統としてはゴーレム魔法に近い感じである。牙一つ一つに魂が宿っていたわけではないので、魂を使用する死霊魔法とは別物のようではある。主材料となる牙に魔力を込めることから付与魔法の魔道具に近いが、魔石は必須では無いようである。もし魔石を使用すれば、龍牙兵の魔法を込めた者以外でも主にして起動ができるので、その部分は従魔契約に近いのかもしれない。


サラは自分が解釈した内容をロンとカーラに伝える。

「ほう、流石だな。一読でそこまでとは」

「そうね。確かに死霊魔法とは違ってゴーレム魔法に近いのかも。起動して人型になった後の戻し方は書いていないのね。魔力が切れるまでの使い捨てみたいね」

「だが、起動後に魔力充填もできるみたいだぞ。ほら、ここに」

「充填は魔法使いによる人手だけでなく、制御用とは別の魔石が使えたら便利ですね」

3人とも魔法に関して得意で特異な同類であり、議論が尽きない。


「さっそくやってみることにしよう」

少し広めの場所ということで、道路向かいにあるサラの本宅の庭に移動して実験をすることになった。

伝説のように地面に埋めて様子をみ、さらにその地面に魔力を込めてみたが特に変化は無い。続いて、魔導書を片手に記載の通りの魔術語を使用しながら、牙に魔力を流すように意識してみる。最初はなれずに上手く流し込めなかったが、2度目にはかなりの魔力を込めることができたので、そのまま地面に投げてみる。

すると、確かにスケルトンのように人型の骸骨が生えて来た。

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